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◆ 新しい歴史の展開2007/05/06 (Sun)

 5月の19日から中国に環境関連の調査に出かける。北京から500kmにある小都市で、北京から電車で5時間ほどかかるらしい。鉄鉱石が産出する鉱山のある人口60万の小都市で、鉄の需要が好調なために、新しい資源財閥が登場している。得た資金で、新しい環境の投資案件を求めて来た。私は、当初、金属、電子部品の回収とリサイクルセンターのプロジェクトを提案したが、中国側の要望は粉塵対策とNOX、環境汚染の低減だった。40年前の日本も公害を撒き散らして近代化の道を歩んだ。果たして古い環境技術が日本にあるのか疑問だが、調査を始める事にした。情報によると、この地域は、鉄関連の会社が20社ほど集まって、公害対策、水処理は緊急の案件らしい。
 私が35歳頃、新日鉄で元気な猛烈社員だった。会社のトップに見込まれて、特命のプロジェクトを2年に一度担当していた。その時に落第生の社員を選んで、働かせた。特命のプロジェクトは常識人では勤まらない。勤務時間は無制限で昼夜休みも無く働くので、常識人では務まらない。大企業には案外、組織からはみ出した、エネルギーに溢れた人間が稀にいる。態度や言動に問題があっても、優秀な男が欲しい。私の下で働く時は、髭も剃り、散髪もして、身綺麗で、素直で好青年になる。私も彼も大企業では異端児であったが、仕事をさせたい人物の一人であった。大リーグで活躍した野茂が新人の時に面倒を見たりして、野茂のサインを送ってくれたりしていた。彼に、分析の仕事を聞くために、電話をかけて見た。何歳になったかと聞くと50歳だと言う。仕事は何を担当しているのかと聞くと、環境測定と答えた。粉塵、NOX、汚染、鉄の分析は厳しいので、技術の水準は高い。新日本石油、東燃、近隣の大企業の分析と測定の仕事らしい。中国の新しいプロジェクトの依頼も環境対策だ。漠然とした話ばかりだが、目に見えぬ糸が繋がる感じになった。プロを4〜5名ほど集めて機材を揃えると仕事はこなせると言って来た。中国で環境の仕事で繋がれば、長期の仕事になるし、国際貢献に繋がる。私は中国と仕事をしているが、このままの日本人の意識では彼等には勝てない。勝ち負けは別にして、我々に何が出来るかを考えている。生産力では、すでに彼らには勝てない。市場も巨大で、将来は内需だけでも消化出来ないほどの巨大さだ。韓国、北朝鮮、中国、ASEANN諸国、インド、全て陸路で繋がれている。着々と縦断する高速道路も建設されている。巨大市場になって、アメリカの比ではない。私の仕事は小さな外交だが、若者の大きな夢を残してやりたいと努力している。少し、体調が心配だが、新しい事が起きる予感がするので、中国を訪問する。

 浅草に墨田公園がある。この公園は地震災害の時に25,000人の避難場所になる。区民が飲む飲料水用に大型膜の浄水機の開発を依頼されていた。昨年、東京ビックサイトで膜の浄水機を展示していた時に私のブースに区の職員が見えられて、井戸水を浄化して、50項目をクリアー出来るかと質問された。数日たって区の防水設備を見て欲しいと連絡があった。昨年の防災の日の前に、井戸水を直接、当社が開発した装置を通して、50項目の分析テストを行った。9月の防災の日、現地で当社の装置で区民に飲んでもらった。今でも区民の方が喜んで美味しい美味しいと飲んでくれた光景が忘れられない。他7箇所を見て回ったが、墨田公園の砂濾過装置が一番大きい。地下に埋めたタンクに備蓄した防災水を飲料水にするので、砂濾過では危険すぎる。水道法ではで、50項目をクリアーする能力が求められたので、RO装置の提案をした。時間4トンの純水装置になる。当社にすれば最大の社会貢献になる仕事で、損得は度外視して、製作を引き受けた。作る水野にとっても歴史に刻む仕事になる。このプロジェクトが予算化されるまでに色々ホテル等から話があったが、東京の案件に絞って来た。昨年の年末と今年の正月は浅草を訪れた。年末は閑散としていたが、正月は初詣で混雑していた。出かけた事がなかったのに浅草に週に2度も足を運んだ。心の何処かに、この仕事がしたかったので、自然に浅草に向ったと思う。東大で講座を開いた時に知り合った学生が、私が分からない事があると直ぐに調べてメールをくれる。この仕事の打ち合わせにも参加させた。すぐに、23区の防災と飲料水の現状を調査して貰ったが、どこの区も50項目をクリアーする基準はなかった。

 先月は、豪州からも水不足の様子を電話で聞き、雨水対応の膜浄水機用の準備も始めている。新しく高性能な膜を購入して、墨汁で汚した水、ガソリンスタンドの廃水、汚れた川の水を汲み試して見たが、見た目は綺麗になった。雨水の浄化、工業用水の浄化には使えそうだ。この人は現在、旭化成のMF膜を購入して使っているので、RO膜の浄水機を希望されたが、家全体をRO水で使うには捨て水が多いので、奨められない。そこで、私は前段にフィルターの洗浄機能を付けた、時間1トン処理のMF膜(0.2μ)+活性炭+UF膜(0.01μ)仕様の、超贅沢な膜ろ過高度処理浄水機の新製品を考えている。今後は、膜を使って、下水・廃水のろ過も必要になるので、より深い工夫を進めている。
 私も膜を扱う前は、急速ろ過法と言って砂濾過で水を浄化していた。今も日本では、99%がこの技術である。水道の水も昔からこの方法で、雨水などを沈殿させて、不純物を、ろ過して、活性炭と塩素殺菌して水を得ている。役所も砂濾過が標準のスペックで新しい技術は採用しない。この方式は沈殿濾過するので、大規模な沈殿設備が必要になる。又、広い敷地もいる。新設、メンテにも莫大な予算がないと維持が出来ない。一方市民は水道水をそのまま飲む習慣がなくなり、水道水離れが加速し、水道設備を維持する膨大な資金をえるために水道料金を値上げする動きがある。値上げになると益々水道離れが進むので、現状の濾過方式を代えないと解決できない。日本人は安全と空気と水はただだと思っているが、実態は予想以上に汚染が進みコストがかかっている。中国の溌展で酸性雨、温暖化の影響で、益々厳しい状態になり、解決の目処は尽かない。つくばの飲料水も霞ヶ浦の水を利用し、沈殿濾過して、活性炭を放り込み、塩素殺菌している。特別な処理はしていない。菌がいないだけで、美味しい水とは言えない。霞ヶ浦の水も汚染が進んで、鯉が大量に死ぬほど水が汚れている。鯉が死ぬほど汚れているとは大変な事だが、解決策はない。
 私達はROの技術を20年前にアメリカから導入して、半導体向けに製造・販売してきたが、5年前にMF膜をOEMで供給を受けて、ホームクリーン井戸水膜ろ過浄水機を開発し、家全体の水をろ過するシステムを世間に提案した。以後、経験を重ねて、より精密なUF膜を導入し、カルシウム、マグネシウムを取り除く樹脂を装着してエコキュート向けの高レベルの浄水機も開発して来た。MF・UF膜はイオン化した不純物は取れないが、析出した不純物のほとんどは取り除ける。カルシウム除去の樹脂を使うとイオン化した汚染物も取れる。砂濾過法に比べて濾過能力は格段の差になる。コスト、装置の規模、扱い易いし、逆洗浄水の捨て水も少なく省エネで、効率性が高い。
 墨田公園の浄水機を当社が受注できたのも、理由があって、井戸水の濾過条件の50項目の水質基準を越えると飲料には出来ない。イオン化した水を瞬間に濾過できるのはRO膜かNF膜しかない。砂濾過の問題点はいろいろあるが、汚染物が浄水タンクの内部に貯まる。この汚染物を逆洗浄して流す作業には大量の洗浄水が必要になって、洗う水も汚いし、洗った水を流す排水設備もいる。タンクが大きいと排水設備の方が高くなり、緊急用の装置は滅多に使わないので、予算がとれずに、排水や廃水を流す設備は通常付いていない。排水設備がないと、公園に濁水が溢れて新たな環境問題になる。この現実を解決するには膜の浄水機しかない。
 一口に膜濾過と言っても、膜穴の大きさと膜の面積によって能力が決まる。膜にはRO膜、NF膜、UF膜、MF膜に分類され、RO(逆浸透)膜は一番精密で、次にNF膜で、共に圧力ポンプが必要になるが、UF膜は0.02μ前後の穴径の膜で(限外ろ過)、次に、MF膜(精密ろ過)これ等の膜は圧力ポンプなしで、水道水の水圧で使える。私達は小さな会社だが、全ての膜技術には精通し、近い将来、膜専門の会社として業界の一役を担えると自負している。日本の水道設備にも膜を採用する検討が進んでいるが、膜を大手企業が技術、製品ともに、独占しているので、導入価格は安くはならない。高コストが最大のネックになっている。今回、当社の膜装置が表舞台に登場したのも時代のニーズの敵った問題解決の一端である。膜の技術は、中国、アメリカ、ECでも主流になっている。私達はUF、MF膜をRO膜の前処理にも導入しているが、前工程で、不純物をほとんど、取り除けるので、RO膜の耐久性が延びている。膜のメーカーも、日本、カナダ、オランダ、米国、最近は韓国、中国も台頭しているが、私共はOEMで膜を自力で調達しているが、今後は素材の入手戦争になると思う。大型プラントに限れば圧倒的に大手企業に敵わないが、近い将来には価格競争の激化で、大手企業の優位性は崩れる。当社は大型装置の製作にも対応できるので、何れ大型装置も当社の販売項目にする。当面は、時間10トンクラスのUF膜の浄化装置を考えている。

 円安が進み、輸出産業は恩恵を受け好景気だが、国力は低下している。60兆円を越える利益の備蓄の資金があったが、会社の防衛資金や設備資金に消えた。儲けても、儲けて自社株買っても株は上がらないし、儲けは、社員にも還元されないし、希望無き社会が続いている。輸入製品の価格は上がるし、国民の生活は報われない。このままだと、近い将来隣国の属国になると危惧してしまう。  

 友人の大学教授が最近北京を訪問し、中国のバブルぶりを嘆いていた。北京や上海は東京と比べて物価の差はないし、物価の高い中国は魅力に欠ける。先進国では、日本の物価が一番安いと思う。日本は高い場所と安い場所がある。中国や韓国は安い製品は劣悪で使えないが、日本製は安くても使える。今回、深センに行かせたが、香港空港から深セン市内まで直接プライベート送迎車で入国できる。高速で約45分の距離だが、料金は日本より高く。往復で35,000円ほどする。オリンピックまでに物価はまだまだ、高騰するだろう。発展の凄さにも驚くが、日本より様々な問題も目につく。外食でラーメンを食べると300円ほどするし、アメリカも韓国も中国も表の物価はかわらない。技術も物真似の技術もここに来て限界が来て、このままでは、13億人の生活は守れない。先端技術を導入して、少し大人にならないと苦しい。日本もアメリカから技術の物真似をして学んだ。彼等も同じ道を歩んでいるが、日本に見本があるので、彼等の成長するスピードは速い。中国の様子を学ばせるために、娘達を深センの大学に語学の勉強に行かせた。新しい交流の試みを始めている。夏には西安に行かせる。東大の学生も派遣する。今月19日から娘と中国に出向く。小さな外交だが、大きな展望が見えている。団塊の世代、20代の若者、時代の経営者に声をかけて、新しい人脈をつくりたい。

 ランドローム、神奈川のS神社、連休を明けて、大車輪で働く機会に感謝している。水野もアメリカから帰国した。10日ばかり休暇を与えた。本来は12月の予定でいたが大幅に遅れた。私と共に休養もとらずに働き続けて来たが、表舞台に踏み出した以上、責任も大きくなるので、休息して働くように指示をした。東京の災害用の仕事を中心にスケジュールを組む事。事故を起こさない事、特に交通事故は厳禁。仕事は長期戦で無理はしない事、営業覇活動は当面自粛し、頼まれた案件のみ受注する。零細企業が生き残るには他社が真似できない特徴のある会社にしたい。大手の統計では有給休暇は8.5日らしいが、最低倍は休ませてやりたいと思っている。お金より、安心、健康が一番だ。