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◆ 2005年の終わりに2005/12/25 (Sun)

 12月には珍しく日本列島が豪雪に見舞われた。北茨城に袋田の滝がある。冬の寒さで凍る事で有名だ。12月22日寒さで、滝が凍りついた。夜には急遽ライトアツプされて氷の滝が映し出された。その山の中に牧場がある。約15,000頭の豚が飼育されている。電話も通じない。小さな山道に沿って小川が流れている。川幅1mもない小さな沢の水だが、鉄分が多く轍錆色で岩肌が覆われている。その水を飲料水に使っている。最近食の安全上、飲料水の管理も厳しく改善を求められて当社に相談があった。時間3トンの水量で飲料水レベルの水が欲しいと。一年前にこの話があった。12月の末寒さが一段と厳しさがますこの時期に水野と樋口は工事に出かけた。全国的に豪雪がテレビで流されて工事は到底出来ないと思われたが、強行した。この地域は普段でも寒さが厳しい場所で、今年中に工事が出来ないと来春になる。寒さに堪えて無事に帰ってきた。日本列島で寒さの中で毎日働いている人は大勢いるが、マイナス零度の極寒の中で働く責任感には賞賛に値する。この仕事で今年は終わる。銀座のグルメ和光から正式に注文があった。和光は日本を代表する銀座の店。昔しからの顧客で、今回も指名で購入すると連絡があった。

 今年も振り返ると病気と付き合い、時には病気を忘れて一年中忙しく過ごした。世間では小泉政権が圧倒的に選挙で勝ったが、彼は巧みにメディアを使い政局に利用した。投票数では反対派が多かったが、選挙の数では強大な権力基盤ができた。政敵を情け容赦なく叩き潰す手法は、恨みを生んだ。メディアが総出で政権側を応援する小泉劇場が話題を集め大勝利した。日本のメディアのレベルは最悪である。この閉塞状態の責任者はメディアと言っても過言ではない。日本の人口が減少に転じた。2100年には6400万人になるらしい。労働人口が減少し国が衰退すると言うが、今の閉塞状態で、若い人が喜んで子供は生めない。フリーターや派遣社員を容認する世の中、生んでも子供は育てられない。世界2位の経済大国、貧困すぎる。政界を見ても経済界を見ても希望が持てないし、問題山積の中で世界の資金が日本株に流しバブル状態だ。浮ついた社会で人口は増えるはずがない。金権事件も続発している。入力ミスで400億円の損失事故、酒造組合の年金資金140億円が海外で喪失、一経理マンが数百億を着服、銀行の派遣社員が20億円を横領。悪質な振込、リホーム詐欺等で数百億円の被害。問題ばかりだ。貧富の格差、地域差が断層状態を生んでいる。幼児犯罪も増えて安心して通学もできない。中国や韓国とも大きな亀裂を生んでいる。小泉氏は礼儀知らず傲慢と見られている。中国も韓国も彼を嫌いらしい。「来年も良い年でありますように」と挨拶で終わりたいが、耐震強度の問題も広がりだした。安物を買うと危ないと疑うべきだが、人間の欲に負けてしまった。買う方も売る方にも問題がある。この厳しい時代に急成長する企業は要注意と思って間違いない。真面目に経営して大儲けできる訳がない。建設期間を短くする手抜き以外にない。安くて、広い物件を本来なら疑うべきだが、欲望の魔力には勝てなかった。日本人は儲けるためには手段を選ばない。彼等だけではないと思う。訳あり物件だらけ、日本のたがが緩み全て信用できない。私の商品も他社より価格が安い。安過ぎると信用がないと悪口を言われるが、もっと安くして欲しいと言われる。安過ぎると返って相互に損をするので値切られると販売を断っている。先日あるホテルから時間2トンクラスの純水装置を受注した。前処理は4トンクラスの中空糸膜除濁装置、自動洗浄再生付きプラス純水装置で、600万円の価格を提示した。100万円ほど値引きを要求された。運賃、工事費、配管、据付、を含めると破格の金額になる。東大で2月に超純水装置の講座を開くので見本に一台製作するので安く見積もったが、先方は予算が厳しいと言う。井戸水の浄化は難しい。採算を割って受注すると売上は立つがアフターケアーが出来ない。利益がでないとメンテの費用がでない。昔し、琵琶湖の近くでホテルの浄化設備を750万円で請けた。予算がないと言うので、分割で仕事を始めたが、水質が悪く色々苦労したが、半分しか入金がなかった。最後は、純水装置まで投入したが、入金が途絶えた。当初は安いと喜ばれるが、長い目で見るとお互い予算が無い仕事は損をする。損までして商売することは止めた方がお互いの為だ。今回の耐震構造問題で大騒ぎだが、海外の常識では値段の安い物は鉄筋の量を含めて安物を使う。高い金額を支払うと良質な物が買える。風景や環境も価格も大きく反映される。本来は日本も同じだ。つくば市と土浦市。東京から見ると共に田舎の町であるが、つくば市で家を建てるのと土浦市で家を建てるのとでは建築コストに差がある。安い物を買った人も売った人も痛い目にあった。日本の社会にはまがい物が多過ぎる。騒ぎまくるより反省心が求められる。高い物でも安い物でも同じサービスを求めても問題が起きる。日本人は時々大きな誤解をする。今は、日本人を疑うべきだ。日本人は日本製の製品が一番とは思っているが、価格を基準に比較すると日本製品は見劣りする。日本並みにお金をだせば、驚くほどの製品をつくってくる。今回問題になった建築コストも日本人が建てると高過ぎる。安く建てたいと思ったら海外の工務店を呼ぶ方が早い。規制緩和すべきだ。好感度の世論調査があった。中国人の好感度は30%、70%は嫌いと言う。韓国人の好感度も下がった。小泉氏の影響である。政治で影響を受ける人が多い。中国の躍進と軍事面の脅威を危惧しての影響だろう。私は中国と仕事をして中国人を知る立場にあるが、成功者は良く働く。貧乏な国が近くにいるより、金持ちの国が隣に誕生する方が安心だ。中国のGDPが250兆円、イギリスを抜き世界4位になった。すぐに日本は抜かれる。中国には勝てない。しかし、彼等は必死で努力をしている。経済優先で大きな犠牲を払っている。エネルギー確保のため石炭を採掘し、炭鉱事故で3000人を超す死者を出している。化学工場の事故で汚染、震度5クラスの地震で崩壊する住宅事情。水不足、電気不足、異状気象で災害が多発、砂漠化、黄砂、貧富の格差、老人問題、日本よりもっと悲惨である。自動車事故で年間10万人が死ぬ。広島の被爆で20数万人の死者だから中国の犠牲は大きい。日本は中国の経済は発展のお陰で大企業は儲けているのだから神経質にならずに隣人と共存すべきだ。

 先月、半導体向けに超純水装置を納入した。順調に稼動しているようで安心した。地方経済は疲弊し衰退しているが、勝組と負組みは紙一重の世界に成りつつある。一握りの勝組、大半は弱者が溢れる市場経済だ。勝組とて、油断は禁物、急成長で勝組の会社が瞬時で倒産し無一文になる。潤沢な資金も投資の資金故、所詮、他人の金だ。合理化、効率化、非情な手段で利潤を追求しても心に余裕が無いので、成功しても安心できない。政府は膨大な赤字財政。医療費、介護、年金、財政不足で破産状態。混乱の中、どこかの幹事長は23名の新人議員を引き連れて新人議員の事務所開きと来た。彼等には国民の心は届かない。しかし、国民は支持を続けている。国民の感覚が理解できない。このままでは致命傷になる。私の期待は2007年に団塊の世代が退職する時だ。世代の構造破壊、凶と出るのか吉と出るか興味深い。企業組織の中で、日本を躍進させた世代が、組織社会に決別する。組織の鎧や肩書も無くなる。生身の人間が社会に家庭に溢れて、年金や介護、社会福祉、等、不備な社会を見て考えると思う。退職する事は誰しも怖い。想像していた老後の生活がすぐに来る。新しい痛みを味わうと政治家の無策や社会の矛盾を体感する。体調も気になる。病気と付き合う局面も増える。60代を豊かに過ごすには個人の意志し、誰も助けてくれないと思った方が良い。背伸びせず、世間体を気にせず、本音と建前を分けず、割り切って生活をすれば楽しみも増える。田舎の風景を見たり、昔の音楽を聴いたり、素朴な感動を覚えたりできる世代だ。私は60代になる前、大病を患った。目を患い、腎臓、心臓のバイパス手術も受けた。懲りずにコツコツ働いてきた。仕事が忙しく、苦しくとも落胆はしなかった。韓国や中国にも出張する。病気であっても十分働ける。団塊の世代の人々が社会に出て、自己主張しだせば、世の中は変る。数が力になるし、働く場所を求めて個人で、起業する人、大手企業から零細企業に転進する人も増える。大手企業のみが栄える環境も変わるし、自立の機運が新しい世代を生む。一人でも勇ましい人材が増えれば楽しい。私も独立して一生涯地味でも働ける仕事をしたくアメリカに出かけた。水の自販機の工場を見学して、自分でもやれる仕事だと思った。自販機の仕事はレベルの低い仕事であったが、友人達に話すとすぐに2000万円を超す資金が集まった。しかし、簡単な仕事ほど金儲けは難しい事を学んだ。私達のプロジェクトは失敗したが、大変な仕事の割には儲からなかった。プロジェクトを解散したがノウハウは残った。その後、大手企業が参入し、日本で隅々の箇所に置かれた。何時か入れ替えの時期がくる。充電期間に超純水装置の開発「EDI」を始めた。アメリカから水野を日本に呼び手持ちの資金を開発費に回し、私と水野は世界中を飛び回り仕事を楽しんだ。超純水装置を製造販売できる会社になった。韓国のサムソン社に超純水装置を納入した時期に体を壊した。透析の治療を受けた時、透析膜に興味が湧き、闘病生活より膜のビジネスを病床で考え続けた。膜技術は有望商品でこの商品を扱えたら生き残れる。メンテナンスフリーの自販機が完成すると確信した。私は大した才能はないが、思ったり、考えたりすると大抵、実現する。3年ほどがかかったが、膜を取扱う会社になった。膜の装置も手創りで始めたが、水野が工夫を重ねた。半自動洗浄装置が完成し、次に自動化を考えた。夏頃、韓国で、液晶装置を製造販売している社長から電話があった。自販機を作ったと完成前の自写真を見せにきた。技術の話になったが理解力は素晴らしい。力を試すために即座にテーマを自動化の制御盤の開発に決めた。話が早過ぎると韓国の技術者は驚いた。口約束だけで開発のスタートを切った。慎重な日本人が、開発費を簡単に出すのか疑いを持たれたが仕事は走りだした。11月に自販機の制御盤が完成して動作確認を始めた。充填量は2種類2gと4g、取水の種類は3系統。還元水、ミネラル水、脱気水。誰もが果たし得なかった自販機が誕生した。自動化装置を採用して、フィルターを自動洗浄する機能も加えた。この装置にEDIを備えれば超純水装置が完成する。昔し、自販機の仕事を始めた時、メンテ作業が辛かった。毎日、毎晩、メンテと保健所との交渉に明け暮れた。その経験から新しい機能を備えた自販機を作りたかった。自販機が完成し、大手企業と提供する準備も整った。これとは別に独自でコンビニや小店舗向けの装置の小型の自販機を製作している。来春には50台ほど量産する。目漂として年間100台を考えている。近々新しい高性能膜も完成するので逐次商品化を進めたい。