戻る
◆ 型装置の開発2004/12/10 (Fri)

 私の友人に高名な大学の教授がいる。その教授の紹介で韓国の有名な財閥の会長と超純水の合弁会社設立について話しあった。背景には、現今、世界的に水の問題が深刻で中国、韓国、スリランカ等で大きなプロジェクトの計画がある。発電所、ハイテク工業向け、中国の杭州では大規模な淡水化装置での飲料水用の巨大プロジェクトがある。財閥としたらそれ等の仕事が欲しいのだ。我々では規模が大き過ぎて所詮、無理な話だが合弁資本さえあれば可能だが、我々の実積を見て、即、巨大プロジェクトに参加できないし、彼らにとっては私達の仕事は小さ過ぎて不満であった。韓国では大企業と言っても1000億円程度の売り上げの会社である。この変化の時代を生きることはよほどの新しい分野を開拓していないと難しい。是非、新しい技術と市場が欲しいのだ。表向きは大学の教授の顔をたてて私との関係を凍結状態にしている。
 私は、大手企業で事業開発の仕事を担当し大きなプロジェクトを多く担当してきたが、大きな仕事と小さな仕事の困難さは、小さな仕事の方が案外難しい事が多い。資金さえあれば大規模の仕事の方がたやすい。交渉中彼等の度胸のなさ臆病さに呆れてしまった。日本企業でも同じ傾向が見られる。古いようだが度胸と能力、それにスピードと躍動感のない経営者は魅力に欠ける。

 韓国の若い経営者から塗料のプロジェクトの相談を受けている。内容は次世代の塗料らしく10数年間かけて開発を進めてきたらしい。レーダーにも発見されない特殊な塗料で量産の準備に入ったらしい。計画は本社をアメリカに置いてドイツ、日本を重点視している。日本の鉄鋼の優秀さは素材にもあるが実は表面処理の技術にある。私に東大や京大、アメリカのスタンフオード大学、企業として相応しい会社を紹介して欲しいと依頼してきた。この経営者と約1年前から膜の開発を共同で進めてきたが能力はかなり高い。新日鉄時代開発企画の仕事を長く勤めた経験から彼の感性と実行力は信じられる。早速友人の教授に電話で選りすぐった人材を集めるように依頼した。
 塗装の分野は中々人材が少ない。昔、表面処理で世界のトップメーカーである日新製鋼で働いていた時も人材は少なかった。一時期、日新製鋼と三菱商事と東洋インキが私のプランにそって開発会社RHDと言う会社を作ったが、その会社の社長に当時、表面処理の最高の権威者として東大名誉教授であった久松氏と働いた経験がある。その時の経験もあって少しこの分野のことはわかる。彼等が我々に相談するのは実務を考えているのだろう。単に学者と組んでも成功しないからだ。出来る限り応援したいと思う。一時期韓国の財閥の傘下に入るか?若手の経営者と組むか迷ったが若手を選んで今のところ正解だった。

 水の方は、日本では大型プロジェクトは栗田さんやオルガノさんに任せて、我々は小さな商売を考えてきた。技術力は負けるとは思わないが一応の線を守ってきたが、外国の人々と交渉を重ねてきて私たちも大型装置の製作販売をする気持が高まった。中国を訪問し大型装置のプロトタイプの製作を兼ねて訪問した。日本でプロトタイプの装置をつくると高いが中国の製造メーカーは簡単に造る。装置概要の話しをした。一日400トンクラスの浄化装置の製作技術を試しに製作依頼すると小規模過ぎると言う。確かにスケールはデカイ。
 訪問する前に我々の手で地元のメーカーと共同で400トンクラスの装置をつくり試しに日本経済新聞に膜を使った数百トン規模の安価な浄水機を販売する計画を発表すると、記事を読んで客先が現れた。日量400トンの井戸水を使用する病院、表面処理工場、大型スーパー、飲食店。参考までに客先のろ過設備を見せてもらったが、当社でも問題なく対応できるレベルにある。以前は数百トンの話が来ても検討もせずに断っていたが意識の改革で可能性が見えてきた。人間の心理の変化は面白い。外国との交渉は立場や環境それに歴史、生い立ちが違うので難しいので合意は難しいが交渉を通じて感覚や見識が磨かれる。お蔭様で大型装置を作る仕事を通じてまた、新たな人脈が増えた。

 前項でも触れたが、日本の経済は順調そうだが実態は良くない。忙しい会社もあるが、息切れ状態だ。私の会社に大型の注文がくること事態景気は深刻である。来年早々に大型プラントを受注して本格的な膜メーカーとして強気の経営者として新たな年を迎えるつもりだ。来週、韓国で作ったオリジナル・コンテナハウスがつくばの事務所に到着し展示をする。指紋認証で開く鍵や大型の二重窓、オンドルの暖房室を備えている。小規模の店舗や少し変わった事務所等、多機能な用途に応える準備を兼ねている。年末も多忙の日々だが心を鬼にして全国制覇のスタートをきりたいと決意している。