戻る
◆ 太陽光蓄電システムの完成間近2012/03/03 (Sat)

 3.11の震災以降、つくばでも余震が頻繁に起こる。井戸水浄水装置を扱っているが、一番の心配は停電だ。震災で経験した停電は、たまらない不安を感じさせた。つくば市は住みよい街だが、街灯が少なく、夜は真っ暗闇になる。そこで、知人に声をかけて、小規模太陽光発電を取り入れたLED街灯を提供して、街を明るくしようと、少数の有志が集まって、プロジェクトチームを立ち上げた。しかし、内容を調べだすと、競争も激しく、簡単には儲からないと気付いたのか、自然消滅した。中心になった私たちは、売れようが売れまいが一旦技術開発を始めた以上、完成するまではやめられないので、試行錯誤で、装置を駐車場に点灯させて、蓄電システムを完成させた。その後1年間、耐久テストとして風雨にさらして点灯させて来たが、全くトラブルはなかった。

 ソーラーパネルは、屋根ではなく、地面に置いて使える簡易的に蓄電出来るタイプにした。全くの素人の状態からスタートしたが、情報を集めて工夫を重ねてきたので、コストの安い装置が完成した。自然エネルギーを使う仕事は、とにかく安くないと話にならない。

 4月になると全国の原発が止まり、電気料金も大幅に上がる。この影響を考えて、更に身近な蓄電池システムを販売しようと、地方に住む友人達にニーズはあるか聞いたが、意外と無関心だった。業務用で17%、家庭用で10%アップしたところで、大したダメージではないと言う。私は、この返事に違和感があったが、多分、売りつけられたら断りにくいので、無関心を装った返事かもしれない。最近は、不況のせいか日本人の感覚は委縮していて話しにくい。水の装置を買った人は分かると思うが、私は、開発までは熱心にするが、購入を無理じいしたことはないので、ニーズを率直に教えて貰えると有難い。

 廃水処理の会社の社長から、MBRの膜を買いたいと直接電話があった。1年前、テスト用として一枚販売した後、使える目処が立ったので、膜だけ欲しいと言って来た。この話は、友人が間に入っていているので断りきれず、密かにメーカーと相談して直接交渉して、了承の返事が来たが、購入が遅れている。大きな会社は、社長の力だけでは決められないので決定が遅れることは多い。しかし、早い決断を行わないと国際ビジネスは難しい。LED街灯を開発した時も同じことで、すぐに儲からないと即諦めてしまうが、根気がないと仕事は進まない。

 最近、一軒家向けの大規模太陽光発電システムが工事費込で、105万円で販売され出した。恐らく、外国勢の攻勢と不況でパネルが売れ残り、家庭向けにパネルの大量処分が始まった兆候だと見ている。

 29日の雪の日、東京ビッグサイトのPV EXPOに出かけた。「私の立ち位置が間違っていないか」を知りたかったし、何とか“井戸ポンプ”を太陽光で動かすために、今交渉している300Wの大型パネルの動向を見たかった。PVの世界は、エネルギー事情から競争が激しくなって、参入しても生き残りは難しい。展示会場では、外国勢が攻勢をかけていたが、300Wは参考出展程度で、今時点では販売はされていなかったので、私の読みが外れていなかったことに安堵した。

 ビジネスは、立つ位置を誤ると100%失敗するし、あまり先走っても成功は難しい。メガソーラーの分野は競争が激しいので、隙間を狙って、水中ポンプを動かせるくらいの容量で、より身近なソーラー蓄電システムの確立に焦点を絞っている。

 人生も仕事も案外、偶然の出会いで仕事になることが多い。私の場合、病気になってから病気と付き合うことで膜の開発に辿り着いたし、何事も計画通りには進まない。MBRの膜がキャンセルになったら、独自で販売するし、仲間以外には再販はしないと決めている。大手企業から頼まれて、その気になって転売するのは簡単だが、私が直接販売すれば儲けも大きい。自社製品にするか共同で行うか早晩判断する。この決断を下すとスッキリした気持ちになって、力が沸いてきた。

 私は300Wのパネルを10枚購入し、10日頃に着く予定だ。約家一軒分の電力に相当する3kwが賄える枚数で、数年前なら200〜300万円かかった。これにバッテリー8台、12Vと24Vの充電器、30Aのインバーターを揃えた。MBRも、直接販売も決めたのでこの商材も育てたい。

 ラジオでは、105万円という価格の太陽光発電が宣伝され、昭和シェルでは、30枚のパネルを使った総電気量2.4kwのシステムと言うが、売電型太陽光発電の未来は、既に勝負が決していると見た。売電型は、ソーラーパネルとパワーコンデショナーさえあればすむシステムなのに、日本人の無知に漬け込んで、高額な価格をつくってきただけのことで、外国勢の進出が始まって、従来の日本価格が吹き飛んだ。やっと本当の金額が出てきたので、この近辺で値段が落ち着くと思う。一年前まで、京セラのソーラー事業はドル箱だったが、一年たって一番のお荷物になり、ソーラーが全く売れないとのことだった。最近どの分野でも仕事の賞味期限は短いし、恐らく蓄電池の仕事も、お荷物になる仕事だと思っている。又、パネルの価格も過剰生産で安くなると思う。素材が安くなると零細企業が扱える仕事になりだした。

 友人の建築家から、岡山の水道局の仕事で、時間900トンの集水を1ミクロン以下に濾過して、臭いをとりたいと相談があった。九州では、ダムに流し込む水の浄化が求められている。最近は水質管理が厳しく、色度の基準も飲料水並みに厳しい。当社のMBRも有望になるので、色々な用途で応用出来るので、試して見たい。MBRの直売が出来るようになると、案外飛躍の導火線になるような気がしてきた。水の仕事は裾野が広いので、今年は大型膜も手掛けたいと思っている。

 数年前から社会が委縮して、物が売れない社会になったが、地下水に対応したレベルの高い装置を開発し続けている。ここ5年、業務用に開発した装置を家庭向けに普及させて来たが、今後は業務用で、10インチの大型膜装置を10台製作する。RO+EDIそれにMBRまで幅広く取組む準備を整えている。不況が深いほど外注を使えるので、小さな仕事はなるべく避けて、大型に取り組みたい。

 4月から電力料金が上がると、多分、水道料金も上がって、今より地下水が見直される。“蓄電池”を使った浄水器も必要になる。20数年前にN社に在籍し、燃料電池の開発を少し手伝ったことがある。当時東電は日本最大の有力企業で、まさかこんな破綻状態になるとは思わなかったが、蓄電池の仕事は何故か興味があった。昨年から、節電時代になって、蓄電池が新たな商材として登場したが、東電からの充電方式だった。原発が稼働していた時は、余った電力無理やり処理する為の夜間料金が設置してあったが、私に入っている情報では、早晩に深夜電力の割引はなくなる。100Vからの充電より、太陽光から蓄電する方式に関心がうつって、大手企業がこぞって太陽光からの蓄電システムに参入しているが、開発しても、すぐに新しい方式が生まれるので、到底儲かる仕事とは思えない。この分野は、零細にとっては面白い仕事だと思うので、当社でも十分に勝機はある。

 私も、事務所の駐車場にソーラー発電を使ったLEDランプを点灯させる蓄電する方式を試したが、貧乏人には有難いシステムだし、内職のようで誰にでも出来る仕事だと思う。このシステムをまとめれば、独立型の自然エネルギー蓄電池になるので希望者が多ければ技術を供与する。後は蓄電池の価格で、調べるとパナソニックは300万円、中国製でも蓄電池が50万円と高額だ。私は30万円を目指しているが、全てお任せの大手の価格をとるか、自分でもエネルギーづくりに参加するか、お客さんの考えどころだ。

 最後に、この太陽光蓄電システムのプロジェクトに協力できる人、特に電気の専門知識がある人がいたら、内容を聞いてほしいので、連絡してほしいと思っている。