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◆ PRは謙虚にお願いします2013/07/10 (Wed)

 今回、ブータンから浄水器の設置場所の写真が届いた。神奈川県のローターリークラブからの依頼で、今のところは、時間10トン処理の装置で、予算が300万円はかかる案件だったが、先方に予算がないとのことで、時間約1〜2トン処理の装置を2台、80万円でつくることで合意した。輸送費は相手持ち、技術者の派遣費用は当方が持つ案で決まった。ミャンマー、ネパ-ルに次いでまた貢献出来て嬉しい。

 時間3トンの超純水装置の製作が最終段階にある。先週の土曜日、先方から電話があって、古いEDI装置が突然動かなくなったと連絡があった。当日、日曜日と駆けつけたが、当社が製作した装置ではなかった。この会社へ、当社から5台のEDI装置を納めているので、応援を兼ねて修理をしたら、とても感謝された。仕事の極意は、「相手側にたつ」ということで、感動が共有される。

 異常気象で、農作物に深刻な影響が出ている。突然の梅雨明けと同時に、厳しい猛暑、世界中で大雨と干ばつの被害、天が大暴れし地球を襲っている。私は雨が嫌いなので天候には過敏だが、ソーラー給湯器の仕事を始めてからは更に気になりだした。強烈なまでの太陽の日差しを「有効に使わないともったいない」と思う。少し節電を学ぶ気持ちがあれば、自分の手で、電気代なしでお風呂も沸かせるのにと思って、一時は他人に教えたい衝動で仕事を始めたが、思ったより周りは節電には関心が低く、やはりコンセントを刺すだけで電気が使える便利さに支配されて、大手が販売するオール電化に負けてしまう。

 アベノミクスの恩恵が大企業に出始めて、株の恩恵で年金に7兆円も運用実積を上げたと伝わって来る。長年の損は隠して、上手く行くと声高に伝わるが、この反動で国民生活は値上げラッシュ、総じて呑気で、大人しい国民だと思う。オリンピックの選考レースも終盤で、日本が有利とマスコミは伝えている。中東情勢を考えると大騒ぎする雰囲気ではないが、トルコが本命だと思う。大金を賭けたイベントビジネスは、成熟社会には不似合いだ。
 
 日本のプレゼンテーターが、100%と自己採点する「おごる姿」は違和感がある。スポーツの祭典だし“ひたむきさ”の方が好印象で、「安心・清潔・潤沢な資金」とPRされても、私は共感どころか腰が引ける。ブラジルでも、100万人を超すデモが起き、競技場の建設に大金を使う政府に国民の怒りが爆発した。例え自国のサッカーが世界一になっても、金持ちだけが儲かるスポーツビジネスの愚かさに目覚めた動きで、しごくまともな怒りだと思う。

 オリンピック開催国に名乗りを上げている日本の現状も、実はそんな余裕はないと思う。日本は急速に老人大国になっていて、“似非お祭り騒ぎ”は控えて、冷静に我が国の実力を見つめて欲しい。1000兆円の債務がある国の中核を成す東京都政を担う猪瀬さんには、税金を使って喜び跳ね回る姿が見えても、危機感も恐怖心も見えない。対中国の政策も、呑気な日本を試す策として、尖閣に中国軍が上陸する可能性すらある。頭の良い人たちのはずだが、感覚は鈍いと思う。もし、中国軍が尖閣に上陸したらどうするのか、中国という、緻密で戦略的な国が隣にいることを考えると、もっと謙虚にあるべきだと思う。

 東京は東電の株主でもある。廃炉問題と汚染水漏れは心配にはならないのだろうか。当初は、被災地の再建も誘致の柱になると思っていたが、アベノミクスで浮かれて、何時もの通り気が緩みだした。7年後、私も77歳だ。東京には、団塊の世代の人が老人として溢れ、住める場所もなくなる。そんな都市に、「安心・清潔・潤沢なお金」が整っているとは思えない。金融緩和の禁じ手は通じないし、副作用に見舞われて、技術大国も崩壊した社会になる予感もする。

 仮に、オリンピックがビックビジネスだとしても、この現実を踏まえて、謙虚にPRして欲しい。金融緩和が一部の勝ち組にメリットをもたらしたことで危機感がなくなり、経済政策に反対の声も出せないし、オリンピックに反対するのも気が引けるが、統計に表れない90%の庶民生活は副作用の痛みをどうして測るのか、耐えるだけなのか、不思議な国が、世界の評価を待っている。

 私は経営者の端くれで、懸命に後輩達の生活防衛案を練っている。輸入物価が上がるのは想定内だった。物価を2%上げる政策も不可能で、むしろ消費税が景気を下押しして物価は下がる。中小企業の立場から見て、自社の製品価格を2%上げて売れるとは考えられないし、実際に2%も上がれば、私は海外から買う。国内の労働賃金も上がるどころか下がるだろう。

 私は海外から部品を調達して装置に仕立てているが、円安のダメージより、量が価格に反映するので、本当は購買力の方が影響する。円が360円の時も、150円の時も、日本製は魅力があって世界中に売れ、貿易摩擦を生んだ。しかし今は、日本製が全く売れなくなった。先般、輸入関係の業者が挨拶に見えた際も、「円安で好調なのは、自動車と高級化粧品のみで後は苦戦している」と言う。中国経済も冴えない。中国向けの輸出も激減して、貿易収支は悪化し続けている。これら赤字を理由に、原発を再稼動する動きがあるが、これも気になる。

 為替が円安になっても庶民にはメリットはなかったし、企業収益が増えたと言っても、エネルギーは高くなる一方でトータルすると±0にはならない。日本の国力は、1990年当時がピークだったが、今20数位に落ちている。国力の低下の割には電気を使い過ぎていて、“身分不相応な支出”が続けば、更に国力は下がる。世界経済はどこも深刻で、日本のマーケットも小さ過ぎる。売り値を下げるか、独自の製品を生まないと伸びない。

 電気代があがれば、値上げ分を節電する小さな仕事はあると思うが、大騒ぎしても解決策は知れている。私は東電が信じられないので、つくばの事務所にソーラーを導入したが、大幅に節電出来て、値上げもこなせると見ている。ソーラーを導入しても、差引大した金銭的メリットはないと思うが、東電離れが出来た感じがして嬉しい。

 ソーラー給湯器を導入した客に、半年たった様子を聞くと、苦情はなく、お湯も足りないという話もなかった。私は、本当かな?と懐疑的だ。反応も鈍く、良かったと言う話も悪かったと言う話も聞かれない。拍子抜けして、幅広く売る気にはまだなれない。7月から諸物価が上がる。私の周りは余裕なのか悲鳴は聞こえないが、確かに影響は出ると見ている。

 大手がからむ、電気代やガス代はもっと上がるだろう。ソーラー給湯器を販売した客は、いずれも金銭的に余裕のある方が買われた。節電に関心を持つのは、決まって富裕層だ。天候が悪くても苦情が来なかったのは、導入した時点で、節電意識が満たされたからで、順調と安心が得られた心理だったと受け止めている。私の扱う製品は、あえて営業はしない。顧客が困った時に欲しい装置なら、売れると思う。

 中国のLEDの会社からも、頻繁に在庫を買ってくれとメールが来る。また、到底当社のレベルでは買えないと思った大会社から製品を買えるようになった。不況“様様”の面もあって、どこも内実は大変な様子だが、中国経済の悪さはこれからが本番で、どう乗り切るのか、興味津々だ。

 私の方は、『軟水濾過ホームクリーンミニ(仮称)』をNPO法人「水屋安全な水を考える会」を通じて販売を予定している。金額は、海外向けを考慮して、25万円前後を予定している。地下水は、膜をオプションとして採用することも可能だし、水道水で、お風呂を軟水にしたい人は、最適な装置なので推奨したい。飲用水用にも、軟水のウォーターサーバーを開発した。儲けの一部を、ブータンの装置代にして、一部寄付金として貢献したい。安全な水を考える会が推奨する装置で、是非、検討をお願いしたい。

 当社が扱っている「エコタンク」に問い合わせがある。過去にも数件あったが、用途は教えてくれなかったので興味がなかったが、今回は内容が聞けた。数台購入希望の方が揃ったら、再び取り扱いたいと考えている。当社に来る話は、1台だけ作って欲しいと言う話や、特別の用途で使う装置の開発が多く、即採算に合う話は少ないが、案外そこから仕事になるケースもある。ホームクリーンも、井戸水でもエコキュートを使いたい客の依頼から開発して、ロングセラーになった装置だ。また、私の親友が東大の教授をしていた時に、証明書発行器の筐体を1台だけ頼まれたことから、今では全国の大学向けに販売が拡がっている。

筆:川手恒義