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■ 癌手術を終えて2014/04/22 (Tue)

 今年に入ってから体調が優れず、担当の医師からは、胃カメラを飲むように強く勧められたが、とにかく嫌だった。貧血が進んで動けなくなり、救急車で病院に運ばれ、ついに3月3日に入院することになった。3歳で被爆してからは、病と共に人生を送ってきた。心臓に腎臓、糖尿病まであるので、併合症の恐れがあり、非常に危険な手術になることが予想された。だが、私としては、手術自体よりも、血液中にある薬を入れ替える10日間ほどの期間がとても辛かった。入院することが目の前に見え出した時、手術も決意して、前院長に電話を入れた。今も現役で別病院の院長をされているが、県内では名外科医として評判の方だった。断る理由はいくらでもあるだろうに、二つ返事で引き受けてくれたのは、本当にありがたかったし、強い心の支えとなった。

 46歳の時に大手の子会社から独立し、これから何をしたら食べていけるかを考えて、アメリカに出掛けた。どんな縁か、ただの偶然がそうさせたのか、“水”を職種に選んだ。当時の友人達からは、「水売りは如何ですか」と冷やかされて始めたが、水の自販機を開発して、少し資金を貯めてから、“膜”と出会い、井戸水に特化した濾過の仕事を始めた。本格的に膜を使った、今はロングセラーとなった当社の浄水装置を最初に販売したのが、今回手術をして頂いた医師だった。水の仕事からつながった不思議な縁は、自然と仲間意識が芽生えるのかもしれない。

 4月は、増税前の駆け込み需要が長引いて忙しかったが、天理大学に筐体を3台納める仕事、コーヒーチェーン店の業務用浄水器の仕事、岡山の食品工場の仕事等、順調に進んでいたので、安心して治療に専念出来た。ベトナムの仕事も、浄水の仕事は決まって、廃水の仕事も契約は交わしてまとまりつつある。中堅企業向けに開発した装置がここに来て受注につながった。4月一杯は順調だったが、勝負は5月頃からだと思っている。

 最近の世の中を見ていると、予想もつかない不幸な出来事が頻繁に起きる。自然災害も世界的に増え、国際的な紛争が起き、人々の焦りが目立つ。世界中が狭いパイの奪い合いでもがいているようで、全く先が読めない。マレーシアの旅客機が突然行方不明になったり、韓国では、高校生たちを載せた大型客船が、あり得ない沈没の仕方をしたり、悲惨な事件が起きている。

 私は癌を発症した後、友人たちに電話をかけたが、友人達も、ほとんど同じく癌の治療を受けている状態で、老人社会が迫りつつあることを実感したと同時に、死と向き合う世代なのだと意識した。

 安倍首相の「アベノミクス」が、流行語のようにもてはやされていたが、やはりうまくいかなかった。本来ならこれだけ金融緩和すれば、有り余った金が株に向かうと通常では考えられるが、その動きも鈍くなって、株高であっても一部の株主が儲ける程度で、ほとんどが外国のヘッジファンドに資金を奪われる結果となった。更に、株も上がらず、円安にもならずの、この政策の反動が、新たな格差を生み出した。

 水の仕事は大きく儲かる業種ではないが、必ず必要で、比較的安定した業種と見ている。生活に密着した安定した仕事を育てて行かないと、ますます失業者は増えて来ると思う。今は膨大な予算を箱ものづくりに投じているので、大企業の建築関係の仕事は忙しく、人材が不足している。介護の世界も人材が不足して、将来とんでもない高齢化社会になる気がしている。

 以前から50代を越えた人たちに仕事を与えられるように、NPO法人をつくってあった。当社の技術も進んで低価格で提供できるようになったので、NPO法人を通じて技術の解放を進めたいと思っている。小型の太陽光発電システム、輻射パネルをつかった、冷暖房の普及活動、プラントパワーを使った植物の育成事業、お年寄りが出来ない事をお手伝いできるような、近代的な便利屋の事業も育てて行きたいと考えている。

 退院して2週間たった今は、牛乳か刺身を少し食べる程度で、体力はつかず、即活動は出来ないので我慢の毎日だが、連休明けには少し、体力も回復すると思う。ご迷惑をかける面も多々ありますが、応援のほどを、宜しくお願い致します。

筆:川手恒義