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■ 個々に付加価値をつけた生き方を2014/01/31 (Fri)

 ベトナムから、一日200tの廃水処理に関しての技術資料が欲しいと言って来ている。資料がないと客先に説明できないので、このままでは他社に仕事がとられてしまうという内容だ。とにかくベトナムでの廃水処理における“前処理工程”を調べて欲しいと伝えていたが、おそらく前処理工程はなく、垂れ流しだと思う。私の質問の中身が理解されていないのだと思うが、現状が掴めないと返答に困る。
 
 この話の発端は、「赤字が出てもいいから、実積を積む為に入札するので応援して欲しい」という依頼から始まった。1日の処理量が200tと大量で、汚水を生物処理するには、約38時間の養生時間が必要になる。つまり最低200tの水槽が4基は必要になる。タンクを使うか、コンクリート槽をつくるのか、予算等を教えて貰わないと、返事が出来ない。

 廃水処理の工程は、汚水を貯め置いて、空気を送り込み、バクテリアを育て、そのバクテリアが汚物を分解して処理する方法が一般的だが、海外は規模が大きい。一日200tの廃水処理に、我々がアドバイスするにふさわしいのかも含め検討している。

 最終工程で「膜」を通して濾過する方式が、“一番高度な処理”だが、膜は詰まるので、膜の逆洗浄がポイントになる。中国やインドを見てきたが、ほとんどが垂れ流しの状態で、高度な膜処理が本当に必要なのか、正直わからない。中国では、既に廃水処理のビジネスは下火で、『水の再利用技術』に移行している。水のリサイクルを考えると、膜の導入は欠かせない。当社は既にHPに掲載してある。現地では、具体的な提案より、営業上、日本の提案と書類がないと話にならないのだと思う。ホームページには、エアレーションして、水と汚物を膜で分離するMBRユニットを掲載してあるが、実はインドの廃水処理で既に使っている。廃水処理装置は、例え資料に基づいた立派な装置が完成しても、日常では如何にランニング費用を抑えるかがポイントになる。高度膜で処理すると、浄化の行程が短縮されるメリットはある。

 1日200tの廃水処理装置のユニットを製作する話も、メーカーと詰めているが、旧正月が終われば、概要が提案されると思う。1日200t処理の大型廃水処理設備を、日本のレベルでつくっても採算に合わない。そのために中国の専門家に発展途上国のレベルに合う廃水処理を提案するように頼んでいる。

 1月が終わって、時間の流れが速すぎると感じている。岡山の弁当屋さんから、地下水を使いたいので300万円の予算で浄水装置を3台ほしいと言われ、頭金として50万円を受け取った。一台は製作したが、広島では宅配用の弁当給食からノロウイルスによる大量の中毒者が出た。今回の相手先も、デリバリーの弁当屋さんだし、食の世界は衛生面でトラブルが起きた場合、装置の導入どころか、どのような事態に発展しても不思議ではない。単に注文があったから製作して、予定通りお金が頂けると言うことはなく、計画の全てが吹っ飛ぶくらいリスクのある分野の仕事でもある。

 石巻市で、地元の農業関係者が展示会をするので、井戸水の浄化装置を出品して欲しいと頼まれた。実は体の調子も悪く行くのを躊躇ったが、復興に関しての仕事は儲からなくても請けると決めているので、先陣を切る思いで出かけた。展示会に備えて、全天候型の大型UF膜の浄水器を開発した。この膜は、時間2〜3tの水を処理する能力があって、加えて鉄・マンガン、軟水化装置を現場で簡単に組み立てる移動式の装置にして展示した。時間2〜3tの水処理を従来の方式で装置にしてみると巨大な砂ろ過プラス、軟水器等が必要になって、到底移動式では考えられなかった。背景には、防災用の装置の要望が大阪からもあって、手動式で、かつ、移動式の装置を望まれている。

 被災地石巻では、とんでもなく豪華な野菜工場が乱立している。復興資金が流れているのか、潤沢な資金があるのか、従来ならパイプを地上にさしてビニールで覆う農業用ハウスだが、植物園に似た温室に近いハウスが次々とつくられている。しかし、地下水が使えず、水道水を使って、イチゴやキュウリを栽培している。単純にこれで採算に合うのか尋ねると、採算には合わないが、二代目三代目が使えるからと割り切って温室を導入したという。水道水の使用が奨励されている為使っているが、採算に合わないことが続くわけもない。被災者を利用した、復興援助の名の元に、庶民の財産が巻き上げられる仕組みを感じて、気の毒に思った。塩水を被った地下水を濾過する為に、前処理膜とRO膜を洗浄できる装置に改造してランニング費用を抑える提案をした。

 水戸の自動車やさんから話があって急いで装置を製作した。関彰からの仕事も一台決まりそうで、霞が浦の養鶏場の仕事が2台、役所の仕事が1台と話がある。話があるだけで嬉しいが、お金が来たのではないし、全てが決まるとも思えない。運転資金もまとめると多額になる。岡山の件も、リース会社のOKをとっていても、装置が完成して検証後、数か月しないと入金がない。普通は銀行に駆け込んで運転資金を充てて循環させるのがビジネスだが、銀行に頼る商習慣が嫌いで、私が運転資金を用意する羽目になるので、一台一台慎重に吟味して、採算にあう仕事から始めるようにしている。

 世の中では、当社は零細企業だから、安い仕事も請けると足元を見られているのか、とにかく値切られる。話が思った以上に増えていて、最初はアベノミクスの影響で金余りの現象か消費増税の駆け込み需要と、前向きにとらえていたが、内容を聞くと、1000万円を越える仕事でも、平気で値切って来る。多分大変だろうと思って50%OFFの見積りを出しても、尚値下げを要求してくる。景気が回復して、株高になって世の中に多少なりとも明るさが見えたと思っていたが、価格競争の実態を見て、思った以上に大手と言われる食品業界でも大変なのか、随所に苦しい状況が伝わって来る。

 アルゼンチンの通貨下落で世界がおかしくなっている中、早くも、政府と日銀が推進した円安の悪影響が出始めている。少しずつアベノミクスの高揚感も薄まって、思った以上に実態経済が悪くなり、このままでは成長や給料アップの好循環が生まれる見込みはない。政府とマスコミが組んで「株高円安」で日本が潤っていると浮ついていたが、実際はとんでもないほど崩れかけている。円を増発させて株に資金が流れる状態を演出して来たが、貿易赤字は確実に膨れ上がった。その原因が、原発を止めたことによる燃料費の高騰だと報道されるが、これは原発を動かす為の手段だ。これらは誤魔化しで、節電を呼びかけるどころか、どんどん電気を使って、赤字の幅を広げている。円安になれば大儲け出来ると言って来たのに、貿易収支が11兆円を越える赤字となったのは、売れる商品がない証拠で、事態はかなり深刻だ。
 
 ここ一年、潤ってきた幻の資金は吹っ飛んで、4月からは予想以上に混乱が増すと思う。今度混乱が起きると、取り返しがつかないほどの痛手を受けて、世界同時に経済悪化が進む気がしているので、緊張感を持って動向を見ている。

 私は、世の中の流れに反しても、時代遅れと言われても、若者は個人の人生に付加価値をつける生き方を選ばないと、老獪なお年寄りたちに人生すべてを奪われると警告している。その付加価値をつける方法が、今年一年どう生きるかにかかっている。

 マー君が160億円のお金を得たと言って、大騒ぎしているが、これもアメリカのビジネスの上手さで、この金は日本から流れるようになっている。莫大な放映権料を出すのはNHKを始め、日本の放送局だし、マー君のグッズを群がって買うのも、ほとんどが日本人だ。少し、目を覚まして独自の生き方で付加価値をつけて生きないと、衰退国家の中で、もがいて生きるしかなくなってしまう。

筆:川手恒義