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■ 業務用ホットサーバー、温水が使えますよ2013/05/13 (Mon)

 神奈川県のロータリークラブを介し、ブータンの学校に浄水装置を寄付したいという話がきた。ボランティアに近い仕事を請けるか否か考えたが、社員は面白いと言って概ね歓迎なので、私も前向きだ。「幸せの国ブータン」を訪れることも出来るかもしれないし、遊び心が広がるならと思って準備を始めている。これが実現すれば、ミャンマー、ネパールについで3ヵ国目の仕事になる。

 新たに、温水が出る「煮沸殺菌式、大容量ホットサーバー」を開発している。全量軟水で、UF膜とイオン交換樹脂と活性炭で濾過したプロ仕様で、たくさんの温水と常温水が手軽に汲める。海外の学校などに向けても考えていて、取水口は5か所に増やし、電源はソーラーでも使える仕様にすれば、用途は様々に拡がると見ている。

 実は最近になって、東京都葛飾区にある自然食品の店舗に納めていた水の自販機が返却されて来た。20年前に独立したばかりの時に、アメリカから自販機を輸入して、日本仕様にして私が販売した製品だった。この自販機は、私の水ビジネスのルーツで、都内では数台残った中の一つだった。

 当時は、“4リットル100円”で販売をスタートさせたが、バブル時代の波に乗り全国へと広まった。私が水の販売機を全国に普及させた張本人だが、最新の水の自販機を見ると、濾過機能以外に「水の硬度分」を謳い文句に、ミネラルを添加して加工水にしている。色々と水の種類を増やして、水質を捏ね繰り回している売り方が気に入らない。汚染物の除去が確実に出来れば、自然水に近い状態で提供すべきだし、確実な濾過とメンテナンスが最も大切だと思う。「何種類の水が出来る」という複雑な装置になるほど、装置の購入費用、保守メンテ費用も高くなって、“安全な水”の確保が二の次になる恐れがある。

 20年前には「日本で水を買う」習慣はなかったが、今や“水を買う”のは常識となっている。これは多くの人々が安全な水を求めているからだ。自販機の先駆者としては、零細企業や小さな店でも導入出来る価格にするため、無駄な機能はいらないと思っている。今、贅沢な自販機の流れに逆らって、殺菌した温水が出る「大容量ホットサーバー」を完成させて、末端価格にして100万円を切る装置に仕上げたい。

 私は、自販機を普及させる為に、“調理水・キッチン水”として許可を得た。当時は保健所や厚生省などから猛反論にあったが、水の自販機が広く普及した今、水文化をつくった一人として、水は地味でも、確実な仕事であって欲しい。大手の介入があってからは、自販機から離れ、膜技術とEDI超純水の世界に移った。身近では、地下水を安心して使える“ホームクリーン装置”を開発し、家全体の水濾過、つまりどの蛇口を捻っても安全な水が出る装置を開発した。

 突然だが、私は、白湯でないと薬が飲みにくい。もともと薬も嫌いだが、飲まないわけにいかないし、毎日小さなストレスになっていたが、他にも「手軽にお湯が欲しい需要」があると知った。透析患者を始め、病気を持った方には、塩分と糖分のない白湯は重宝するし、私と同じように感じている人は多い。だが実際は、白湯は手に入りにくいし、市販の飲料水は量も多すぎて高い。小型の魔法瓶に、白湯を入れられたら便利だと思う。周りの人にも聞いてみると、外出時の赤ちゃんのミルクを作るため、野外でお酒を割る時など、あれば助かると要望は尽きず、“お湯を希望する人”は思ったよりもいた。

 UF膜と、煮沸の技術を組み合わせて、安心して白湯が飲める自販機が完成した。使ってみると、私が欲しいと思った。温度はもちろん、取水口から出る水量も調整出来るので、予想以上に仕上がった。この装置に使う部品は、ブータンの学校で使う浄水器の部品と共通させてコストを下げ、日本でも破格の金額で「大容量ホットサーバー」として売ることが出来そうだ。

 時間3トン近いEDI装置の仕事が決まった。超純水の仕事では、私が知る限り、日本国内で最大級の装置を当社が製作することになった。

 連休前には、ソーラー搭載型の軽自動車の納車を終えた。改造車の2台目をつくる計画では、蓄電システムを備え、大型のRO浄水設備を搭載した“防災型車両”にする。また“多目的車両”としての機能を持たせ、真空断熱材も使い、野菜や低温が必要な食品を、新鮮なまま運ぶ「保冷庫」としても使える仕様にする。アメリカと韓国でも改造車の店舗販売が急速に伸びていて、ソーラーと水の濾過機が備わった車両のニーズも増えると見ている。

 並行してアクアポニクスの装置も完成し、養殖と水耕栽培の研究を始めている。地元の蝶ザメの養殖業者と共同で装置を開発する話もあって取り組んでいるが、私は先を見ている。TPPが始まると、日本の土を使った農業は確実に打撃を受けるので、水耕栽培が大切な技術になる。アクアポニクスと称された、養殖の水を栄養素にした循環型の野菜工場が土地活用の鍵になると見ている。

 6月に政府が示す成長産業の一つに、農地を有効利用したソーラーパネルの設置がある。今までの農地法では、用途転換しないと太陽光パネルの設置は認められなかったが、農地を維持しながらの設置が認められれば農業をしながら売電収入が得られることになる。畑にも太陽のこぼれ日が入る太陽光パネルを製作して、発電と光合成が両立出来る仕組みが完成すると、空いた農地の利用法が生まれる。再生エネルギーを売って収益を生み、養殖液を肥料にするアクアポニクスと組み合わせた農法はミニ産業を生む。

 ヨーロッパの環境規格を持つ有機液肥、プラントパワーをアクアポニクスで使ってみた。プラントパワーのアミノ酸酵素と微量金属、銅、マグネシウム、亜鉛の働きで、菌の繁殖と根腐れに効果があった。先日とれたイチゴは糖度もあって、野菜の生育も早く青々していた。アクアポニクスとプラントパワー両方の効果を実感して嬉しかった。

 円が100円を越え、20%以上円の価値が下がった。自国の通貨価値が下がって喜ぶ姿は奇妙で、円安の今は微妙だが、6インチの大型プラント用の膜を輸入することにした。大型の仕事が増えそうなので、購入ルートの安定を考えての投資だ。

 世の中が円安と株高で、政権は“高い支持”を過信しボロが出そうな雰囲気になった。日本人は少し上手く進みだすと調子に乗り自滅する。経済が口先だけの期待感で盛り上がっているだけなのに、今度は憲法を持ち出し、アメリカに押し付けられた憲法は悪だと言い出して盛り上った世論を分断しだした。アメリカがこの右寄り発言に苦言を示すとすぐにおとなしくなる態度や、中国、韓国を刺激する言動は子ども染みて恥ずかしい。ちょっと脅されれば“アメリカ頼り”で、中国とアメリカは、既に裏では我が国より利害が一致している現状を認識しないと笑い者になる。が、アメリカからは既に笑い声が聞こえている。

 円安でも円高になっても影響を受けない真の経済力を日本はつけないと、口先介入のままでは夢は冷めてしまう。安倍総理の政策はどうひいき目に見ても博打だが、何もしないで死を待つよりも、行動する道を選ぶ心境で国民はついて行っている。経済を見事に再生した後に、憲法改正論を語るのならば、私は賛成に回るが、今の戯言の論争に巻き込まれたくはない。鍵は中国で、尖閣を軸に日本を試す局面は近い。日本は技術力を高めて中国を抜く以外に解決策はないだろう。今の中国なら、競える可能性はある。

筆:川手恒義