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■ 復興事業への協力に目途2012/11/30 (Fri)

 石巻市から3.11で被災した、農業用水が塩水で汚染され使えないと関係者が相談に見えた。最初は、直に現地を見るチャンスだと思って気軽に出かけたが、水質の状態を詳しく見て見ると、当社の技術をもってしても、とても一筋縄ではいかない水だった。被災以降、多くの浄水器メーカーや大学の教授等が押しかけて、現地の水を濾過したものの、今は業者のほとんどが撤退した。この水を濾過するには、膜技術は当然、生物処理技術も併用しないと無理だと思った。生物処理は、バクテリアが生息しやすい環境をつくるための接触材が重要で、その材料を長年調べてきたが、なかなか最適なものは見つからなかった。

 一時、東京電力の友人の紹介で生物処理のメーカーと提携の話を進めたり、インドの廃水メーカーと組んで汚染水を濾過するプロジェクトを立ち上げたりしたが、各社のノウハウがあって、なかなか核心部分の情報は得られなかった。

 知人の建築家が“輻射式冷暖房”の話を横浜の顧客に伝え、私の耳にも入った。夏には、15℃の地下水をそのまま循環させて冷房にする話で、冬にはソーラーを使って暖房にもなる。“輻射熱”は、風を使ったエアコンとは全く違う方式で、空気を気化して冷やしたり温めたりする技術で、とても興味が沸いた。

 柏で実際に輻射パネルを稼働していると知って訪問した。そこは、今流行りの「陶板浴」の施設で、遠赤の出る石を使っていた。この石はバクテリアの接触材に使えると思って、この石を少し売ってもらった。大量に買う場合の価格を聞いたが、セラミックボールと同じ構造をした石で、とにかく高かった。

 その石を、床暖房歴25年近くワカバハウスの社長に見せると、提携している研究所で調べてもらった。後日、この石よりも経済的に優れた石を勧められた。その石も遠赤を出すので、陶板浴にも使っている石だった。早速、粉末状の石を、特殊な塗料と混ぜて、輻射パネルに塗布して制作した。この石にはバクテリアが住める環境が揃っているので、間違いなく接触材になると直感した。

 内容を聞くと、アルカリ性で、農業の土壌改良剤としても使われていた。この石を前処理に使って、バクテリアの量を増やし、当社のダイレクト膜とROを使った浄水器をつくって浄化すれば、何とか農業用水として使える水になると思った。この計画を石巻市の関係者に提示して、来年の2月には、実用化のテストを始める予定で進んでいる。

 私は、重度の障害者で、2日に一度5時間近くベッドに横たわって、血液を入れ替える治療を受けている。3kgほど体重を落とすので心臓に負荷がかかり身体中に痛みとしびれがある日々を送っている。一障害者でも、知っている技術を活かして少しでも疲れを和らげるため、温浴法を常に考えている。私が働く目的は “社会貢献やお金儲け”が優先ではなく、自らの疲労感と痛みから逃がれたい一心で開発に取り組んでいるので他人事ではない。

 脱サラして、「健康と環境ビジネス」に特化し、地味な仕事だったが長く続けられる仕事を選んで来た。社会は急速に劣化して、想像を絶する事件や事故が相次いで起きる日本になって驚く日々だが、人心は凶暴になり、自分の身は自分で守らないと、誰も守ってくれない社会になった。

 当社は会社を設立しても営業には力を入れないで、開発に専念しているので、他人から半ば辟易してか、仕事の的を絞ってお金儲けを優先したらと忠告もされるが、経済力がなくなっている世の中で営業をして、もがくだけの生き方はしたくないので、経験と知恵を活かした生き方を選んで来たので、個人としては後悔がない生き方だと思っている。70歳になって見ると、お金儲けも贅沢な生活もさほど興味もないが、会社のスタッフたちが長く働ける仕事をつくりだすことを最優先にしているので、私個人は、体を温めることを主眼においた技術の確立を考えて爆走している。

 世間は総選挙一色で、あいもかわらず口先だけの“たわごと論戦”が聞こえて来る。どの政党も、原発ゼロと経済成長の強化を叫んでいるが、これからの日本は経済成長出来ないと考える方が正しく、時代に合った地道な生き方を選択しないと本当に生きることすら難しくかつ苦しくなると思う。

 水の仕事は、生活には欠かせないし、貴重な技術と仕事で、長く続けたいと思って選んで来た。ソーラーの仕事も、太陽を熱源にする仕事で、儲けはないが、原発の未来の行く末を考えると、欠かせない仕事になるので、これは続けていきたい。

 10年ほど前から体が疲れやすくなって、体を温める手段として、遠赤外線式のサウナBOXを輸入し使っていた。透析の関係上高温は良くないので、低温で温まれる遠赤を選んだ。輻射パネルをつくって見て、このパネルに遠赤の技法を加えると、熱が蓄えられて、より温浴効果の高い製品になると直感した。実際に使って調べだすと、床暖房に辿り着いた。20〜23℃の暖かさがあれば心地良い温度領域だということがわかった。従来の風を使ったエアコンだと、暖かさを保つには25度以上の設定温度が必要になるが、遠赤輻射式パネルだと、室内温度が22〜23℃で十分快適な生活が送れて暖かさが長持ちする。

 今までは、エネルギーと言えば原発が一番安いと洗脳されていたが、原発の事故処理を含めると、実はとても高くつく。気の遠くなるような時間を回復に必要とし、核燃料棒の貯蔵を考えると、原発から生み出される電力に将来性はないと国民の間に広がり始めている。

 身近な地下水の活用に切り替えるだけでも、熱源になるので、私は“地下水と太陽”をベースにした遠赤の輻射式パネルを冷房にも使えるように開発を進めている。更に、太陽熱集熱管と蓄熱タンクを使って省エネ暖房にして光熱費を大幅に削減進めて成果も上げている。ソーラー給湯器を納めた、印旛の顧客宅のガス代は、“60%減”となった。勿論、太陽を熱源にするので雨の日や冬場は電気やガスに頼るハンデはあるが、少し頭を切り替えて自然力を使うとソーラー給湯器が一番経済的だと思う。

 私の北海道の友人が、主人の病気治療の為に自宅に大金をかけて酵素風呂をつくって、今はそれを仕事にしている。私は大金をかけなくても効果のある温浴設備が欲しいと思って、遠赤のサウナBOX、特別な波長のLEDをつくって体を温める方法を考えて来た。

 遠赤の出る石をセラミック板にして陶板浴室を自宅につくる人達の総意は、「確かに血流促進に効果がある」という。熱源は、ヒートポンプを使った温水で、冬場はそこまで高温にはならないので、少し電気で加熱する時もあるが、パネル周辺の温度は20〜22℃でも十分暖かい。遠赤の効果で、足元から冷える寒さは全くなく、風がないので、室内の暖かさが均一で、快適だ。遠赤輻射パネルベッドの形で横にすると、陶板浴と似た感触で、15〜30分で体が温まる。眠る時も、毛布と軽い布団があれば十分で、睡眠も深く、遠赤の技術に魅了され、風を使わない冷暖房に目処がたった。

 人間の平均体温は36.5℃だが、私は35℃台と低く、寒さは苦手だ。遠赤外線は、身体の中の水分子に働きかけて、分子運動が活発化して細胞の動きに連動する。血行がよくなって、新陳代謝も活発になる。体内の60%は水分で、その多くが水分子だ。また、身体の脂肪や重金属は水分子と水分子の間に挟まれて固まり、毒素として留まるので、遠赤外線波長を受けることで、水分子がゆらぎ、脂肪や有害物を排出させる作用が強まる。外部から熱源をあてる方法より、遠赤の波動を使って、内部を温める遠赤温浴の方が、自然に近く体を温め安いと思う。

 たまたま顧客から聞いた輻射式暖冷房の話が縁で研究したが、この仕事は、水を超えて、長く続きそうな予感がする。輻射パネルを使ったソーラーシステムを実用化する為に、つくばのショールームを来年の2月いっぱいで閉鎖して、新たに一軒家を借りてテストを始め、そこを新たなショールームにする準備をしている。