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■ ソーラー式、陶板浴風エコルーム2012/11/11 (Sun)

 先月の28日、石巻市にあるホームセンターの店長から、田んぼや畑が津波で覆われた時にたまった塩分を、取り除く目的で導入したRO純水装置の故障が多く、使い物にならないと相談された。前から現地を見たいと思っていたので、福島経由で訪問した。先月は大阪を往復したので、思ったより体調は持った。被災地で役に立つと思い、色々と浄水装置を開発してきたが、現地の水質データは最悪だった。震災地の地下水にも塩が混ざり農業用水にすら使えない状態だった。政府の復興資金として、税金75%、自己負担25%で、RO浄水装置を急いで購入したが、市販の装置では役に立たなかった。また、メンテナンスも出来ない業者から、調べもしないで補助金で買ったので、このままの状態では困ると懇願された。

 鉄とマンガンの値が日を追う毎に高い数値を示している。瓦礫の金属が解け出して、地下水に浸透していると思われるが、この水を濾過してもすぐに詰まって使えなくなる。それでも、誰かが解決するだろうと思っているのか、現地では大慌てする様子もなかった。除染と同じで、いたるところに未だ処分の見込みが立たない除染のゴミがそのまま放置されているのを見て見ぬふりで、依頼心の高い、鈍感な空気がここにもあって怖い。

 この地域の水を濾過するには、前処理が重要だ。私は“膜を使った処理”を考えていたが、東北には縁も所縁もなかったし、廃水用の膜濾過装置を製作しているので、いずれ声がかかるだろうと思っていた。参考に調査項目の一部を記載する。「硝酸態窒素、及び亜硝酸態窒素が基準値の1.5倍、塩化物イオンが基準値の5倍、一般細菌が16倍、臭気あり、色度が14倍、濁度2.6倍、鉄及びその化合物が463倍、マンガン及びその化合物が74760倍、総硬度が2.4倍」

 これ等の数値は、天文学的な汚染の値で、到底、濾過は出来ない。震災直後は、ビジネスチャンスとして多くの水処理のメーカーや、大学の名だたる教授たちが詰めかけたが、今は声すらかけてこないと言う。莫大な復興予算を使って、盛り土や高台移転して復興が進んでいると報じられているが、命の水がこの状態では、不安になる。水道水を使っての農作業は採算に合わないし、例え水道を使ったとしても、人口が減り続ければ、水道設備の維持さえ怪しくなる。水が安くないと、復興予算で建物を再建したとしても、実生活は厳しい。

 「ソーラーシステム一体型のLED街灯」の縁故販売を考えている。消費電力10Wのタイプで、耐久性が高いリチウムフェライトバッテリー(LiFe)と、MPPT式チャージコントローラを内蔵しているので、防犯用として広く使える商品になった。このソーラー灯は、被災地向けに開発した製品で、やっと実現した。ソーラーの薄さ3oの軽量タイプで、「銅・インシジウム・ガリウム・セレン」を使った、1.3oの極薄ソーラーパネルの採用も考える。中国や東南アジアを旅すると、街灯はソーラーが中心だ。約2年前からショールームの道路際に取り付けて見たが、売れなかったし、反応すらなかった。

 しかし、ここに来て、ソーラー給湯器を買った客がソーラー街灯を買われ、新しい客も、街灯があれば欲しいと言われだした。理由は犯罪防止で、各地で犯罪が増加し盗難事件が増えているせいだ。一体型のタイプなら、工事費も抑えられるし、これらを売って資金を溜めたい。資金がないと、被災地向けに開発中のダイレクト膜も安く販売出来なくなるので、寄付をするような気持ちで売りたいし、買って欲しい。

 ソーラーとエコキュートの仕事を始めて、周辺技術を集めると、ソーラー給湯器を製作することができた。技術も価格も、大手に負けない水準にあるが、課題もある。太陽の熱源を使ってお湯を沸かすだけの省エネの仕事だが、使う側が“万能電気世代”なので、頭の切り替えが出来ていない。コンセントを差し込めば生活が出来る贅沢な意識を改めないと、ソーラー熱源の良さが噛みあわない。太陽という絶対エネルギーを使うので、大変な省エネ効果があるが、天候によっては多少の不便さはある。今後の流れは、「エコハウス」の仕事で、省エネ住宅への改築が増えると思う。昔の日本家屋の良さは、貧しさの中で自然と共存していた。当社の仕事は地下水の活用で、自然とエコハウスにつながっていくと感じる。

 先月の30日は、知人の建築家が設計したエコハウスに、ソーラー蓄熱タンクを納入した。12坪という人口減少時代に合った家屋で、正面の左サイドの壁に集熱管を立て掛けるデザインにした。日本は年配者が増えて、その多くは施設に入ると当然空き家が増える。既に全国で750万戸を越す空き家が大きな社会問題になっているが、古い家屋を大切にして改築し、“エコハウス”に変身させる仕事に興味があって、水の仲間の中のプロを集めている。ソーラー床暖房、輻射式パネルと断熱効果の高い塗料は、水の世界でも活かせるし、技術を活用して、快適な室内空間を開発する試みを始めている。防水、防錆、断熱に優れたこの塗料を使って埼玉の三芳町で、リフォームを行う予定でいる。

 つくばでも古いマンションの再生ビジネスを始める。ソーラー蓄熱タンクを使った床暖房を取り付けて、顧客に直に効果を確かめてもらう陶板浴風のエコルームをつくって見る。室内を40℃近くまで温め、遠赤外線出る粉末を塗料に混ぜて見る。

 世界中の経済が停滞して、人の心が穏やかでない。アメリカは、台風の影響で500万戸の世帯が停電してニューヨーク全体が麻痺した。世界唯一の超大国と頼って見ても、心寂しい限りだ。これからのビジネスは環境の課題を避けては何も解決出来なくなる。再生エネルギーも“ソーラー”が一番身近になると思うが、売電型より独立型の方が自然で間違いはない。買い取り制度で普及を促しているが、数年経つと買い取り制度も行き詰まると思う。水の仕事も業務用にシフトしている。日本の会社の多くは曲がり角にあって、それぞれに厳しく淘汰されているが、当社も同様で厳しい中、打つ手にはそれなりの反応がある。この不況の中、工夫し続けているとチャンスもあって、私の周辺には様々な経験者がいて、その仲間が集い合って新しい形の仕事が生まれ始めている。

 現在、弊社のソーラー給湯器は全部で4台納入済みだ。つくば市のOさん宅、印西市のKさん宅、ここのお宅には、ソーラー式LED街灯も2台設置した。横浜のMさん宅に納めた。ここは、納入日が決まるまで時間がかかり過ぎてメリットが消滅したので、2台の受注を1台に減らして貰った。後は、栃木のエコハウス、Oさん宅に納入したが、井戸が枯れて水が汲めない状態でいる。これからは、埼玉県のKさんが購入を希望され、500Lのソーラー給湯器を用意している。業務用のヒートポンプは、カミヤタマゴさんに納入済みだが、もう一台納入する。ヒートポンプの仕事が軌道に乗れば、さらに仕事の幅が広がると思っている。

 国立大学向けの証明書発行機筐体製作を受注した。全国の国立大学に納める仕事で、一台から始めた小さな仕事だったが、量が纏まり出して育ちだした。

 私は今、防災向けにソーラー発電を組み込んだ軽自動車の開発を急いでいる。載せる装置も、実用化したソーラー関連の装置をお客さんが直接触れて貰う予定でいる。ドアーを3方向解放型にして、それぞれにソーラーパネルをつける形を考えていて、災害時以外にも、使える車にしたい。