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■ Cooling life、風のない冷房2012/08/06 (Mon)

 暑さが厳しく、クーラーがないと命を落とす日々だ。全国で2万人を超える人が熱中症で病院に運ばれ死者も出ている。しかし、年配の顧客からは、クーラーの風が体にきついと言う声を聞く。実は私も同じことで悩んでいた。風のない冷房機は地下水を利用すると出来るが、商品にするには効率化も必要になるので、テストを始めた。私は、病院で過ごす時間が長く、病院の空調が激しく耐え難いほど寒い。省エネ、節電の時代に、冷房で文句を言うなと思われそうだが、病院のベッドで5時間も冷風にさらされることは耐え難い。この暑さの中、服を着込んで完全武装し、寒さに耐えている。“患者”は字の通り、串刺しにされて逃げることは出来ない立場で、「気に食わなければ、どうぞ他の病院へ」と追い出されるのが落ちだ。

 冷房の悩みを訴えても、個人差があって聞く耳を持たないのが普通で、そんな個人的な意見に添えないと思うが、冷風を電気代を使って冷やしまくるのも考え物だと思う。日本の技術は、何億円もの研究費をかけて生み出されているが、世界のレベルと比較すると見劣りする。私のような小さな会社が身近な技術を開発しても、興味を示さない人が多いが、国から補助金の出るような分野は頑張るのに、生活のニーズに対して、良いものをつくる意欲が欠けている。

 横浜に自社ビルを持つ不動産業の方から、気化熱を利用した輻射式冷房システムの相談があった。地下水の温度差、つまり地熱を利用して部屋を冷やしたいと望まれて、鉄製の製品を見せられた。水冷を使うと室温が下がることは昔からの技術だし、私に頼めば開発費はダダだ。100Lの保温タンクと、冷却のヒートポンプを組み合わせれば証明できるので、喜んで貰えるならと引き受けた。

 輻射冷却装置を試したところ、循環水はこの暑さの中で10℃近い冷水になり、湿度が45%ほどまで下がり、予想以上の効果を確認した。問題は輻射式パネルの価格だ。アルミ板のメーカー製品と、ステンレスで手作りする案が提案されたが、話が進むほど価格が高くなる。実はヨーロッパ圏では、風を使わない輻射熱方式は主流で、ほとんどの冷暖房に採用されている。インドなどの若くて活動的な新興国では、冷風の出口は大きくして強烈な冷風が出ない装置は売れないので、独自で気化パネルを開発することにした。

 病院は、一見すると技術が集約された場所だが、寒い、暑いなどの声を出しても、わがままに聞こえて改善する気配すらない。身近なニーズに取り組む人もいないし、マニュアル化された決まりを確実に維持することに精一杯で、私が冷却法を提案しても無反応だ。田舎の老人が何を言っているのかと、患者の要求を聞くより、当たり障りのない生き方を選ぶ風調が一般的になっている。頭が良く、礼儀正しい若者が増えてはいるが、若者には、溢れるようなアイディアで、どんどん改善して行くような姿勢を期待している。大手企業が販売する技術を丸呑みにして、何の疑いもなく大手企業を信用して過ごすのは、悲しい生き方だ。

 私は、特に暑い日は、新浦安の海風を受けて休んでいる。私が住む24階の部屋は、窓から東京湾が見える。涼しい海風で、クーラーを使わなくても過ごせる。真の贅沢だと思う。クーラーをガンガン使うより、自然に涼しくなると、体も軽くなる。二重生活は無駄も多いが、ハワイに出かけるよりは安いし、この生き方は変えられない。

 日本のように老人が増えだすと、室温を自然に下げる技術が望まれると思うが、価格が高過ぎると買えないので、普及する価格で販売するために開発を急いでいる。

 今まで、熱いお湯を浴びると副交感神経が高まると聞いては、軟水の温水シャワーを考えたり、サウナを研究したりしてきた。今回は、冷水の効果で交感神経が刺激されるという話を聞いて、冷水を研究すると、サウナ同様、温冷を繰り返すと自律神経のリズムが整うことはもちろん、免疫細胞が活性化すると知った。冷やすことで、自分の体が持つ本来の抵抗力が目を覚ますというのだ。更に、冷水には、代謝の活性化、血流を良くする作用があり、調べ出すと、透析治療の疲労や筋肉痛の回復にも効果があること、冷え性の改善、女性の美肌作りにも効果があるなど、多くの話題が目に入り出した。

 カミヤタマゴの神谷社長と、10年来の付き合いをしている。最初は、硝酸性窒素の除去でRO膜浄水装置を納入し、クラスター水、酸素水を薦め、納めた。夏場には、酸素水が噴霧され、これが帰化して鶏舎の温度を下げるという成果が出た。鳥インフルエンザの流行で、衛生面で問題になると、卵の配送用トレイの洗浄に、大型の超音波の洗浄機を開発して納めた。先般、彼の紹介で卵業界の自動機器メーカーから、超音波の洗浄機を売ってもらえないかとつくばに見えた。この手の話はよくあるケースで、将来の展望がないと造れないと返答した。一台では採算に合わないし、何台欲しいのか分からなかった。

 既に卵のトレイの洗浄効果は確認済みで、ノウハウもある。私も、超音波の将来性はあると思うし、技術にも自信はある。最初開発に取り組んだ時はリスクもあった。神谷氏も、現実は私を信じて投資をするような甘い経営者ではないし、彼なりの勝算と、リスクを承知して、超音波洗浄機にかけたのだと思う。私は、次にお米と野菜の超音波洗浄を考えていて、技術が証明済の超音波洗浄機を大手企業に販売しても、カミヤタマゴさんにもメリットはないし、当方も他社より安く売る関係でもない。本当に意味のある情報には、価値に見合った金銭の動きがないと、ない袖はふれない。

 話の中で、卵の洗浄にも、50℃近い温水を使うと聞いた。太陽熱で温水は作れるので、それよりも湿気の問題に注目した。室内に湿気が充満すると、高温になって、働く人の負担が増す。他にも、パンの製造工場、うどんなどの製麺所や調理場、大豆を蒸すなどの行程でも湿気はものすごく、除湿したいというニーズは多くある。

 個人的には、このクーリング装置を頭部の冷却に使いたい。夏場の水道水は生ぬるいので、冷水を気軽に浴びて、頭をまんべんなく冷すと、頭がスッキリするし、体の臭いも防ぎ、風邪を引きにくくする効果まである。頭からは常時、赤外線などの熱線が出ていて、頭の内部はうつ熱していて、頭を冷やすことで体調が良くなるのだ。強い肩こりの解消も見込め、頭からの発汗も抑える効果がある。頭痛がある人や、眼がショボショボする人、めまい、ふらつきにも有益らしい。

 医療での頭皮冷却法は、ヘルメット状の「冷却キャップ」をかぶり、内側のチューブに冷たい水を循環させて頭皮を冷やすが、冷水をかけるシンプルな方法でも十分効果はあるし、何より簡単なことが重要だ。この装置が出来れば、家で手軽に使うことが出来るので、楽しみだ。

 私の周辺にも、支払いが遅れぎみの会社や個人が出始めた。しかし、再請求は極力しないで、関係を断つように指示している。いくら請求したところで、払えないものは払えないし、販売先を絞る以外に方法はない。最近は、「支払いを待ってほしい」などの声もないまま、無言で様子を見るような人が増えて深刻だと思う。今は、物が溢れて、買いたいという欲望さえ沸かないし、売れ筋の商品も少ない。この満ち足りた環境下で、売るという作業はますます難しくなっている。

 家全体の水を浄化するニーズから、ホームクリーンを開発し、エコキュートの普及と共に伸びて来たが、電気もガスも使いたくない人が増えだして、今後は温暖化の異常気象に対応する商品開発に重きを置いている。オール電化も、車社会も今や若者離れで、電気を使うということが、“ダサい”ライフスタイルになりつつある。

 電気代を下げて、水道代も下げ、快適な生活を送るプランを考えると『ソーラーと蓄電池、気化熱冷暖房』が有力になる。お金を使わなくて、快適な暮らしがが出来る仕事なら、無反応となった国民に刺激を与えるには、この暑さを克服する製品しかない。美味しい水や、地下水を飲むニーズと、冷房のニーズを比較すると、私でさえ冷房を選ぶ。この気化熱冷暖房がソーラーで稼働すれば仕事になる。

 再び、神谷社長に電話を掛けた。この暑さの今、鶏のストレスを減らす為に、冷水を飲ませて、その循環効果で鶏舎の温度も下げた、“冷水タマゴ”として商品化出来るのではないかと冗談めかして打診してみた。直ぐに反応があって、時間3トンの業務用の冷温水装置を共同で開発することが決まった。一台はカミヤタマゴ、一台はつくばに置いて、より高度な装置に開発する。

 まずは、ソーラー電源を使って、近い将来は全く電気代なしの装置に組み上げる。従来の日本製品のヒートポンプは3.5〜4.5馬力の電気を使うので、ソーラーには応用出来ない。それでは意味がない。1か月後には、この新しい装置から、冷水が鶏舎の中を流れて、鶏の飲料水プラス冷却用の気化熱の威力が証明されると思って、楽しみにしている。

 千葉や茨城の牛舎でも、この暑さで牛がへばって乳も出ないらしいが、対抗する手段もない。そこで、鶏同様、牛に冷水を飲ませてあげて、その供給水で牛舎の温度が下がれば、新しい冷却のビジネスが出来る。この冷水システムは、高度な膜処理技術と一体化させて安全な飲み水にすることで完成するので、地下水で培ってきた技術を活かして、「農業向け・酪農向け・養殖向け」に開発している。

 時間3トンの冷却水が出来れば、スーパーの生鮮食品売り場や自動販売機の冷却にもニーズがあるはずだ。もちろん温水も出来るので、カット野菜の処理温度も、50〜55℃の温水で洗浄するだけで新鮮さを取り戻すが、大量に温水をつくるには膨大な燃料費がかかるので採算に合わない。しかし、技術力があれば、これらの課題は簡単に解消出来るので、用途は広がると見ている。冷却水と温水を、太陽光の恩恵で使いたい人は、このシステムを提案するので聞いて欲しい。