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◆ 危険予知2004/02/14 (Sat)

 急に景気が回復したのか、とんでもないことが製造現場で起きている。

 私の会社で今大型の商談が少し増えている。
 また、知り合いの浄水メーカーの予約状況も5月頃までフル生産である。

 それは大変喜ばしい話である。
 しかし、実態を見た時に、手放しで喜んではいられない潜在的な危機が潜んでいるように思える。

 ほぼ注文に近い打診があるため、いつも板金加工をしていただいている協力会社に見積もり依頼をしたところ、いつもなら喜んで回答をしてくれるのに、どうも様子がおかしいのだ。
 なので、新しい協力会社を獲得すべく、知り合いの鉄鋼関係の会社に生産を打診しても、見積りがあがってこない。
 そのため、日本で作れなければアメリカでフレームだけでも作らせようと思い、社長の水野君を急遽アメリカへ交渉に派遣した。
 また、韓国の代理店にも場合によってフレームの生産ができるかどうかを打診した。
 今までなら、日本が駄目なら、韓国、アメリカと従来では簡単に解決できたが、どっこい、今回はそうはいかないのである。
 それはなぜかというと、現在鋼材が世界的に大高騰しているためだというのだ。

 私のような会社は、鋼材の値上げは直接製品価格に反映される。
 値上げをしないと受注しにくいという問題になる。
 他社の販売価格より約30パーセント近い価格で販売しているために、鋼材の値上がりと加工賃の値上がりは正直言って痛い。

 おおよそ日本で販売されている超純水装置の値段を公開すると、時間1トンクラスでだいたい1,200万から1,500万で販売されている。
 それに対し、私の会社はだいたい600万前後で販売しているが、底値で販売しているためにまさしく素材の値上がりは非常に厳しいのである。

 そこで私は、現状把握のために、浦安の鉄鋼問屋に急遽訪れた。
 ここでも同じく、毎日値上がりして5月6月の状態を把握することができないという。

 誰かが鋼材を買い込んで値上げをしているのかと聞いてみると、原因は外国、中国にあり、鉄鉱石を大量に買い込んでおり、これが原因で世界中が物不足となって高騰しているのだという。
 誰かが大幅に利潤を稼いでいるという値上げではなく、非常にいびつな形の問題が発生しているのだ。

 大きな会社はまだ鋼材を購入できるが、小さな鉄工所に及んでは素材の購入が非常に難しいために、資金のない場合は素材の供給を受けて生産することになる。
 それは、人件費しか稼げない現状になって、国内での内需の盛り上がりが欠けた輸出先行型の仕事のため、在庫を抱えられない状況で非常に危険に満ちている。

 私の会社はなぜ価格を下げて販売できるのかというと、ほとんどが現金と一部前金をいただいて生産販売を行っているからである。
 つまり、手形等は取り扱わないで、全て現金決済を基本に運営している。

 しかし、大手の会社からの注文をこなすためには、いつも現金取引では交渉も順調に進むとはいえない。
 そのために、銀行等に融資の打診を行っている。
 つまり、危険予知である。
 もしこのまま日本での生産ができない場合、外国に出かけて生産する必要も生まれてくる。
 もちろん、当社はアメリカにも韓国にも中国等にも代理店があるために、生産に関しては大した問題ではないが、外国での商売となると前金の決済になるが、日本での大手の支払いの条件をみると、ほとんどが数ヶ月遅れに支払われるのだ。
 小さな仕事をしていれば大した問題ではないが、大型の設備や何千万という資金繰りに及んでは、二重も三重も資金の備えが必要になる。

 ある超純水の生産工場のオーナーさんから、金利さえ払ってもらえれば1億円ぐらいの資金を準備をしてあげると言っていただいた。
 しかし、できるだけ銀行等において資金融資を受ける方が正道であるので、銀行とつめの交渉をしている。
 浦安の商工会では、来年においては、1千万円の枠を確保できると言っていただいているが、鋼材の値上げと共にここ半年間、先が見えないように思える。


 話は少し変わるが、放送大学で水の講義をしていたが、そこではこれからは膜を使った浄化排水の時代が訪れるといっていた。
 当社の大型膜の開発もいよいよ最終段階にきて、見通しがたつ段階にきている。
 ある大手の砂ろ過の自動再生装置を見て、砂ろ過を外し、UF膜を装着した完全な自動再生型のUF膜の浄化設備が今月の終わりに完成する。
 時間4トンクラスで、非常に強力な販売商品になると思う。

 最近、プールの水の透明度を上げるために、当社のUFの設備と純水酸化還元水の問い合わせが増えている。
 近々コンピュータで逆洗できる新しい装置を使って、透明度を上げるテストを行いたいと思っている。

 つくばの新しいインターから、5分ほどのところにログハウスを使ったウォーターセンターを作る計画を進めている。
 敷地は約120坪で2月の終わりに正式に購入する。
 そこに、九州の阿蘇の小国地方の杉の木を使ったログハウスを建設する計画である。
 当初は約35坪ほどの建物を考えていたが、ショールームを兼ねた施設にするために、限度いっぱいの70坪ほどの建物にするために、最終設計の打ち合わせを行っている。
 屋号も水屋と名づけて、希望者がいれば少しずつ全国的に展開したいと思っている。

 また、小さなことだが、大手の方から給湯器とジェットバスの部品供給を受けて、木の浴槽を製作している。
 ログハウスの中に、いろんな活性水を使ったお風呂をテスト的に作って、水の効用を確かめたいと思っている。
 純水酸化還元水はアトピー等皮膚炎に非常に効果のある実証が出てきたので、皮膚炎に悩んでおられる方々に喜んでいただける活性水のお風呂を体験していただくため、製造しているのである。
 うまく行けば、全国的に活性水を製造できるフィルタと純水酸化還元水をインジェクションできる新しいタイプの風呂として、製造販売する準備を進めている。


 中国から我々のEDIの装置を見学したい旨の連絡がきている。
 韓国の代理店をしているキムさんという青年を育てるため、11月に韓国を訪問し、1週間一緒に生活したが、素晴らしい素質の持ち主であったので、私は全力投球して育てるつもりでいる。
 現在、彼にいろいろな指示をして、仕事振りを見ているが、今のところ素晴らしい成果をあげている。

 最初彼に会った時、私は韓国人を信用していないと彼に率直に伝えた。
 ビジネスを始める時に、一番大切なことは信用と信頼である。
 しかし、逆に相手がいつでも私を裏切れる余地を残しておいた方が気楽に付き合えるので、そのように言ったのだが、どこまで微妙な表現が彼に伝わったかわからないが、その言葉を聞いた瞬間、彼は私とのビジネスはできないと思ったらしい。
 私はとにかく飛行機代と日本での滞在費を出してあげるから、とにかく日本に来るように勧めている。

 彼は日本語も堪能で、英語もできるし、水のことも超純水のこともメンテのことも、外交交渉もレベルを超えている。
 将来、すごい人材として成長すると確信しているためである。

 また、彼だけではなく、私のスタッフは全て30代の若い青年たちだ。
 全て徒弟制で訓練育成を心がけているが、彼らは着実に成長している。

 3月には、バングラデシュに水の自動販売機の交渉のため、派遣するつもりでいる。
 中国は私の頭の中では、たぶん繁栄はたぶんオリンピックまでだと思っている。
 そして、ベトナムよりインド、バングラデシュが次の市場になるだろう。
 インドには私にはいろいろなルートがあるが、バングラデシュの方がおもしろい。
 ぜひともバングラデシュに、韓国と日本から勉強のために派遣し、新しい国際感覚を学ばせたいと思っている。

 …これらの行動は全て危険予知の一環であって、ここ半年間非常に日本の零細企業は大変な障害に出くわすと思う。
 私たちは、この好況と偽った荒波に翻弄されずに、少し警戒心を高めて、自己防衛に努めたいと思っている。