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◆ 地下水のニーズに叶う装置2011/03/03 (Thu)

 先月の19日に、NPO法人ミレニアムシティで、水質の予備調査のために、災害用に開発した手動式膜浄水器「非常時くん」を持って、デモンストレーションを行った。この装置は、今回のネパールへ寄付するEDI装置の前処理として開発した。電気がなくても供給できるので、現地の人には喜ばれると思う。私たちも、この装置が実際にどこまでの浄化能力なのかを確かめたかった。先方も、50項目の水質検査を実施したいというので、貸し出すことにした。現地の原水は、臭いもあって、飲めるような井戸水ではなかった。その水が飲料水になったので、参加者からは、喜びの声が上がった。水質検査の結果、49項目についてクリアしたこと受けて、このようなメールを頂いた。『先日の浄水したお水での、水質検査結果が出ました。すばらしい結果で、50項目中49項目クリア、(蒸発残留物のみNG)、感謝の気持ちで一杯です。あんなお水でも、飲めるお水になるんですね!すごいですね!検査結果を見て、改めて感動しました。本当にありがとうございました。今一度お手数おかけしますが、蒸発残留物に関する今後の方針を教えていただけますよう、今後とも、どうぞよろしくお願い致します。』
 
 不適合になったのは「蒸発残留物」の1項目だった。内容を調べてみると、基準値を27mg上回っただけで、見事な結果だと自負している。だが、「基準値ではない」となった以上は、気になるのが人の性だ。このように回答した。
 『お問い合わせの「蒸発残留物」について、当社と致しましては、”結論”とするには、不確かな面もありますが、「このくらいの数値なら支障はないのではないか」という見解です。50項目の水質検査について、わかりやすいと思いますので、(財)宮崎県公衆衛生センターの水質項目基準に関して、HPより抜粋しました。【蒸発残留物とは、水をそのまま蒸発させたときに残る物質の総量で、その成分は主に、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムなど無機塩類や、有機物です。残留物が多いと苦みや渋い味となり、適度に含まれるとまろやかな味になります。】上記から、次のような原因が考えられます。@原水のカルシウム・マグネシウムの量が過剰な可能性。A水質検査で通した「非常時くん」の軟水化装置(イオン交換樹脂)の量が少ない。納入予定になっている装置は、自動再生式の大型(非常時くんの約4倍)イオン交換樹脂なので、この点を踏まえれば、数値が減少する可能性もあります。しかし、当社としましては、家全体の水を「50項目検査に適合しないといけない」ということになると、装置の値段がかなり上がってしまいます。この「蒸発残留物」をクリアにする場合は、飲料水を採取する箇所のみに、「小型のRO装置」をつけることで、限りなくゼロに持っていくことが出来ます。以上、取り急ぎ当社のご提案とさせて頂きます。』
 
 最近の問い合わせで、“装置を安く売って欲しい”という人が増えている。我々も、安くしたいと思っているが、販売した以上は、メンテナンスする義務も発生するので、安く買って終わりか、長く当社のメンテナンスを受けるのがいいのか、お客さんの選択に任せる他ない。あくまでも、私たちの立場は、高性能の膜を備えた装置の販売に徹している。反対に、不況になっているのにも関わらず、環境汚染を実感し、「井戸水に不安を感じているので、高価でも、確かな安全な製品が欲しい」という問い合わせも増えている。化学物質や、蓄積した農薬が溶け出した地下水を、危険に感じることは当然のことだが、いろんな人に自覚が出てきている。

 2月24日ネパールに寄付する超純水装置を無事発送した。元ODAの関係者が見えて、この装置は非常用の人工透析用水に使えるので貴重だと言われた。地元の病院の院長にも見て貰ったが好評だった。今回、時間がなかった割には、仕上がりが良く、海外にも売れる気がしている。この装置は、15MΩ以上の超純水が作れる。簡易型で、移動も容易に出来る。電源は100Vから240Vで使えてソーラー発電でも使える。前処理に限外ろ過膜を採用しているので、水は井戸水・雨水でも使える。東京での災害を考えると移動式の透析用レベルの水は必ず必要になると思うので、期待を込めて製作した。当初は、果たしてネパールで超純水装置が必要かと考えたが、富裕層も増えているので、寄付する装置の内容を決める際、超純水装置を薦めて見ると、関心は高かった。多分今は、純水をつくるのに、ポリシャー樹脂を使っていると思うので、この装置を使うとポリシャー樹脂を薬品で再生する必要がないので、重宝すると思う。寄付後の反応が楽しみだ。今回は、学習を兼ねた装置で、時間100gの処理水が出来る小型にしたが、処理水量はいくらでも増やせるので、案外、海外で売れる機種になると思っている。

 リビヤ情勢を受けて石油が高騰して、特にネパールではその影響で、停電の時間が長くなったので、電気が無くとも供給できる装置にして良かった。経済面も心配だが、石油にレアアース、食料と全てが富める者の投機マネーによって高騰し、世界中が荒れだした。東アジアは経済が加熱気味で、富裕層が増えることで、格差も広がり、暴動は深刻さを増している。私は、地味にこれ等の国の発展に沿って、超純水の技術に焦点を当てて、インドに技術を移管して生産体制を固めたい。

 温暖化の影響で、いたるところで異常気象が起きている。ニュージーランドで起きた地震も、若者が多く被害にあった。人生本当に先が見えない。今のエリートは忙し過ぎて、案外身近なことに無知の人が多い。私が扱う水に関しても専門に学ぶ機会が無かったのか、意外と無関心の方が多い。

 少し前に、病院の医師から友人宅に浄水器を販売して欲しいと電話があった。この友人宅につけたので、この医師宅にも納めた。インドを訪問する為、前から気にしていた不整脈の検査を受けた。検査の結果が良くなかったのか、医師と相談して、手術の日を決めた。インドに行くために、体調を整えていたので、厳しい手術に耐えられたような気がする。何れも短期間で退院出来た。最近の医療技術の進歩は凄いと思う。今回の大きな手術を受けても一日の入院で退院出来るシステムは、アメリカ型になったと感心した。

 インドに進出する時、競う製品を考えると、インドの超富裕層向けにした“純水”が有望だ。食品の研究所・病院など、超富裕層の市場は広い。私も患者の一人として、病院の水の管理が気になるので、この装置を突破口の一つに決めた。この仕事が成功すると10インチのUF膜を中心にした、「インド版簡易水道ホームクリーンシステム」をPRしたい。このサイズの膜は、日本でも入手が困難の膜で、インドで試せば世界中で大きな商いに広がると見ている。

 手術の合間、NPO法人のミレニアムシティのエコ・ビレッジを訪ねて、6インチのホームクリーン装置を納める約束をした。最近、水の悪い顧客を選んで、この膜を使った初のホームクリーン装置を、20年の9月に納入した。約3年間、稼動は順調だ。この膜は入手が難しいので、市販を極力避けて来たが、インドでの拡販を予定して、メーカーの特別の配慮から20本購入し、影響力のある方に限り販売して来た。

 2日から、インドへ向かう。ムンバイという大都市と、そこから車で3時間ほどの距離にあるプネという都市を訪ねる。インドでアテンドしてくれるJハル氏から、詳細な行動予定表が届いた。帰国後、営業日誌で報告したい。