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■ 腸菌テストに合格2010/09/18 (Sat)

 今、蔵王でミネラルウォーターのボトリング工場を建設していて、当社が水のろ過装置を担当している。今の法律では昭和62年に施行された煮沸方式でないと簡単には認可が下りない。常温でミネラルウォーターをつくるには、高度膜技術は例外として認定の対象になっている。私達は、煮沸方式ではなく、膜ろ過方式で認可を申請した。申請した時の役所の感触では、零細企業で本当に高度な技術があるのかと疑った様子だった。

 日本では東レが膜方式で認可を得ているが、コストが高過ぎて採算に乗らない。保健所からは、当社の膜が本当に世界的に認定されているのかを証明する書類の提出を求められた。私達はNSFに認定された書類をアメリカから取り寄せて提出した。次に膜は並列か直列かと聞いて来た。それ以外に数々の質問を受けて、返答したが、前例がないとの理由で、認可が難航した。

 国、県から膜の能力を試すテストを受けて合格すれば検討すると回答があった。「腸球菌テスト」という初めて聞くテストの内容がしめされた。当日、500cc以上のビーカーに、10万個から100万個の菌が詰まった茶褐色の水が研究所の職員から持ち込まれた。菌の大きさは0.2ミクロンで、MF膜では通過する大きさだ。これほどの菌数は、自然界ではあり得ないと研究者の一人がつぶやくほどの量だ。この現実離れしたテストは、いじめに等しいと思う。この不況下で若者達が集って新しい会社をお輿して、日本を背負う気概で働こうとしているのに、想像を超えた障壁を与える。しかし、我々の膜の穴径は0.02ミクロンで、理論的には大丈夫だが、菌の多さと、採水する際に菌が混入する恐れもある。その菌の色でどす黒く染まった溶液を配管に流し込み膜穴を通過させた。数週間を経ても音沙汰がなかった。電話で結果を尋ねると50個の死んだ菌が見られたが、培養しても菌が増殖しなかったので、合格したと連絡があった。予定通り膜が正式に認定された。還元水も見事に殺菌効果が証明され、常温で水の生産が出来、85℃で煮沸させないでミネラルウォーターがつくれる形になった。

 私はいつも少数派で、権力に逆らって人生を送って来たと思う。20年前にも、水の自販機を日本で初めて実用化したが、連日、保健所と交渉して、技術で勝ち取った。今や、日本中で水の自販機を全ての県で置いてあるが、最初の第一歩は私達が開いた。零細企業が、「規制の壁」と戦うのは容易いことではない。日本は、規制緩和をドンドン進めて新しい産業を育成しないと、この侭では日本は沈没する。政府は雇用が雇用を生むと公言しているが、新しい企業を育てないと雇用は生まれない。先送りに慣れた世間を変えたくない人の認知を受ける仕事は本当に過酷で膨大な労力がいる。また、少し、新しい扉を切り開くことができたと思う。

 北海道の士別市で、羊による町おこし事業がある。私は、水の設備で参加をしている。2年前に、町おこしの中核会社「しずお農場」の方から、「羊の肉質を上げるために、いい水を飲ませたいので、浄水装置が欲しい」と連絡があり、お会いした。試しに、ホームクリーンを納入し、二機目は10インチの大型膜装置を納入した。北海道の水は、イメージでは、良質と思われているが、良くない地域も多い。浄水装置を購入する目的として、“町おこしと、雇用を守るための投資”と話された。地方の経済は、公共事業に依存しているので、小泉改革以降は仕事が減り続けていて、生き残るには厳しい状況だ。このまま補助金や国家予算に頼るような状態では、日本企業の多くは生き残れないと思っている。20年前に、“水のビジネス”を考えた。世間では、“水”が仕事になると考える人は少なかった中、5社ほど、私の情熱に資金提供してくれ、水のプロジェクトを立ち上げた。今では、水は戦略物資で、石油より貴重な重要産業になりだした。

 しずお農場は、羊の頭数を増やし、ホテル兼レストランを開業、有機農法の農園で、食用ほうずき・トマトの栽培、トマトジュースの製造ラインも導入し、酵素風呂まで手を広げた。しかし、公共事業に代わる仕事の規模には、ほど遠いのが現状だ。この農場は、200万坪の雄大な土地を所有している。環境を保全し、雪解け水を利用して、「士別の水」を生産すれば、財産になると思う。私は、水がこれからの成長産業の一つになると見ていて、当社で最新の設備と技術を提供すれば、世界的な「水・環境ビジネス」に成長すると思う。

 中富良野の近くに廃校を改装した美術館があって、そこに多くの「ギンドロ」と言う大樹がある。ヨーロッパ中南部、西アジア原産の落葉高木で、葉の裏に密集している産毛が、銀白色に見える美しい木だ。強靭な生命力も兼ね備えていて、地面に芽吹いて、抜いても、抜いても生えてくると言う。広大なしずお農場に、花木を育てるには莫大なお金と時間が必要になるが、この樹木を植えれば、早く増えると思う。植物が育たないと、雨水もろ過されずに、水資源が出来ない。植物の下には水源が出来、汲み上げた水を浄化すれば、命に変わる。自然と水がエネルギーになり、安全な食材につながる。

 21世紀は「水戦争」だと言われている。中国は水が枯渇する恐れがあるため、着々と日本の各地の水源を狙って山地を買収している。北海道にも、中国資本が参入し、山林を含めた良質な水資源を買い漁っていて、このままでは、日本が買われてしまう。私は20年来、多くの国を回って水資源を見てきた。日本では屋久島、奈良の大台ケ原、海外では、ハワイのカウアイが良かった。しかし、屋久島はすでに中国の酸性雨の影響で汚染され、屋久杉が壊滅し、水資源も枯渇する恐れがある。ハワイのカウアイは雨が多く、良質な水があるため、富裕層が多く住んでいる。これからは、水が人を呼び、人が集まれば仕事が生まれる循環になる。

 しずお農場の社長と東京で会食をした。新たにトマトのジュースのボトリング装置を導入したので、瓶つめのミネラルウォーター事業に参入したい旨の話があった。私もこの計画に同意して、惜しまずに技術・設備支援することを確約した。農場と合弁会社を設立して、広大な敷地の水利権を確保しておけば、中国が来ても安泰だ。近い将来、この農場に大型の浄水プラントを追加して、山林から水を汲み出す技術を世間に披露し、技術の証明をしたい。当社も、蔵王・士別と水ビジネスの拠点が出来つつある。

 また、農場のオーナーから「食用ほうずき」を普及させたいと、新しい提案を受けた。最初は、「ほおずき」と言われても、ピンと来なかったので、インターネットで調べてみると、

『原産地は南米のペルーで、糖度は12〜15度と高く、フルーティーな香りと甘さに、ほどよい酸味。ビタミンが豊富で、薬効成分が高い。南米ではペストなどの病気の薬として古くから用いられているとのこと。ビタミンAはトマトの4倍、鉄分はトマトの2.5倍、その他、ビタミンB群のイノシトールが豊富で、コレステロールの流れを良くし動脈硬化を予防したり、肝臓に脂肪がたまるのを防止したり、整腸作用、抜け毛防止、ガンの発生を抑制したりする』

と効用が記されていた。試食すると、見た目より濃厚な味わいで、後味のよい印象を受けた。個人的には、さくらんぼより美味しく、食感も優れている。直ぐに「韻松亭」という日本一のゆばの料亭の責任者に電話して試食してもらったが、好評だった。また、明海大学のシェフに食べて貰うと、「ミルクみたいな濃厚さがある」と絶賛で、イタリアンのシェフに是非とも紹介したいと言っていた。口コミによって、いい人脈に当たれば、味が素晴らしいので、広がると思う。

 インドの知人と、来年を目処に、水処理装置の提携話が進んでいる。既に、現地で専門分野の人間を一人雇って具体化しているので、インドでもミネラルウォーターの事業を考えている。インドは、中国に並ぶ大国だが、交流の機会が少ないが、水と健康の仕事は大いに夢が広がる。

 つくばのお医者さんから、患者のアトピーの治療に水が使えないかと相談され、患者が月数千円でレンタル使用できる装置の開発を頼まれた。高性能、低価格の装置が完成した。当社はイオン交換樹脂を使った技術に経験があるので、装置を試作し、自宅と事務所につけて見た。水の感触は想像以上に素晴らしい。人によっては、日本の水道水は「軟水」にあたるので、軟水器は必要がないと言う意見もあるが、使ってみると、驚くほど心地よかった。如何に、膜フィルターが精密でも、水に溶けたイオン化物質は通過する。膜とイオン交換樹脂とを組み合わせないと、性能に優れた浄水器は出来ない。最初は、井戸水を安心して飲めるように、軟水器を組み込んだ装置を開発して来た。当社では、“膜ろ過”で、地下水を浄化するので安全だし、水道水ならば、膜を外しても使える分、安くなるので、マーケットは広がると思う。最近は、健康で美しい素肌を保つのに、軟水に関心を持つ人が増えている。鍵は、「品質と価格」だと思う。これが揃えばチャンスは多いにあるはずだ。

 インドやネパールから、当社に商談話が来ているが、これも不況のせいだ。日本企業の多くは、儲からない仕事は避けている。加えて地下水が主な水源の海外は、お金がない割には、高度な水技術が求められる。高価な装置では現地の人には買えないし、日本人も近い将来、貧しくなって行く。アメリカではついに、年間180万円以下の貧困層が4000万人に達したと聞く。このような現状に合わせて、世界の貧困層にも使える浄水器の開発を進めている。

 日本の水道水も年々、硬度が高くなり、乾燥肌、敏感肌の人が増えている。東京でも数ヶ所ある軟水風呂が人気を呼んでいる。自宅に安い装置を置きたいと言うので、誰でも気軽に買える金額で販売を考えている。ハウジングは、RO・UF膜にも使える本格的なものを用意し、ためしに100セットは破格の値段で、知人、友人にリサーチを兼ねて販売する。

 福岡の友人が、この装置を売りたいとつくばまでやって来た。当社の水質分析を担当していた大手企業の営業マンで、近く独立したいと言う。神奈川の工務店の社長も来る。10日には、岐阜から代理店の社長が見えて、30台を予約して帰った。国内で20社ぐらいから賛助金を募る予定で、この資金でハウジングを揃え、卸したい。マーケットを開くには量を確保しないと話にならない。当面は、100セットを目標に、猛スピードで製造販売の活動を始めている。