戻る
◆ 東京進出の検討を始める2010/04/21 (Wed)

 牛丼チェーンの吉野家が「つくば大境店」として、研究学園駅近くに開店する。吉野家から当社が推薦され、施工主の大和ハウスから地元の水道業者を通じて打診された。地元だし、不況の中、特に厳しい外食産業なので、特別価格での提案が実った。

 米製の鉛バッテリーを扱う会社の社長が、水の仕事をしたいと当社に相談に来られた。5時間程話し合ったが、すぐ儲かるものではないし、片手間での少ない資金では、水の仕事は難しいと忠告をした。

 福島県の獏原人村に住む大塚尚幹氏の紹介で、横浜にある「夢工房だいあん」という建設会社の感謝祭に招かれ、『災害用の手押しポンプの浄水器』と、『リチウムイオン電池を搭載した太陽光発電可動式RO膜浄水装置』の実質上“初披露”となった。
 同日、水野と上田は山梨の湧き水を浄化したい方の設置工事に出かけた。この装置は、山の湧き水対策の為に特別に製作した。ホームクリーン装置に、小型RO装置を4台組み込んで70gの圧力タンクで送水する新しい装置で、期待の装置になる。社員全員が、朝6時にPRと設置工事に出発し、水野たちは夜12時に帰宅し完璧に仕上げた。私は、横浜で夕方まで説明にたち、2000名を越す来場者に膜の性能を見て貰った。

 14日は、財団法人の講演会に呼ばれ、永田町に出かけた。この財団は総務省主管のシンクタンクで、日刊工業新聞に掲載された「太陽光発電で稼動する浄水装置」の説明を依頼されて、久々の東京での仕事となった。演題は、リチウムイオン電池を使った初の装置になるので、興味と疑いの中、勉強会形式で開催された。講演会では、話も大事だが、実物を見てもらうことが重要だと思い、装置を一式持参した。リチウムイオン電池を組み込んだ小型のRO膜浄水器を直に見て貰ったが、関係者は心底驚かれ質問も出て2時間説明した。同時に、水質の悪い水の浄化に適した浸漬型膜モジュール、手動式RO装置も同時に発表した。会の終わりには再度講演を頼まれるなどしたが、着実にPRは進んでいる。横浜の祭りでは露天商の積もりで実演し、大いに刺激を受けた。この2つの行事をこなすために、装置をほとんど徹夜して完成させた現場に功労は大きい。実演しながら説明するとどちらでも驚きの声がでた。シンクタンクからは販売権も相談したいと言われ、私も久々にフル回転して、講演終了後は心底疲れ果てた。しかし、久々に、脳に刺激を受けて、田舎暮らしの怠惰な生活から再び意欲が沸き、思い切って東京に拠点を設けることも検討して一連のPRを終えた。

 “地下水の利用”を主な仕事で生きて来たが、太陽光発電・リチウムイオン電池を扱うようになって、新しい友人が増えだした。イベントに参加をして、大きなプロジェクトの芽が生まれる気配がある。最も関心を与えたのは、リチウムイオン電池だった。私も手ごたえを感じているし、蓄電は大きなテーマになるのでリチウムイオン電池に資金を集めて新しい仕事の柱にしたいと考えている。横浜の夢工房だいあんの専務・建築家・設計の方3名がつくばに見え、水ビジネスに興味を持たれた。少し、感想のメールを披露する。

**************************************

川手会長様

昨日は、お忙しい中ご案内頂きまして有難う御座います。
日曜日にお祭りに来て頂き、お疲れになっておられるところ感謝します。実際に工場、試験室を見せて頂き驚きました。会長の人柄とパワー、スピード、アイデアに共感致しました。私の苗字も水に関連するので、本当に興味深いです。今後も色々とご指導頂ければありがたいと思います。お体にご自愛頂き此れからも宜しくお願い致します。

**************************************

 この会社と水の仕事で協力できる事があれば協力は惜しまないつもりでいる。このイベントを紹介してくれた一級建築士の大塚氏からも電話があって、『太陽光発電・太陽熱収集パネル・雨水利用・緊急用リチウムイオン電池を使用した新しい総合的な住宅の建設プロジェクト』の提案を受けている。夢工房だいあんは、創立48年の歴史をもつ地域密着型の建設会社で、自社の敷地の中に、2000名を越す来場者を招く会社だ。地に足をつけた経営を行っている印象を強く受けた。祭りを開催する社員の動きを見てもキビキビシした動きで、社風も心地良かった。プロジェクトは集う人次第だが、環境意識の高いプロたちが集まるので、私もこのプロジェクトへの参加には期待を寄せている。当社は水の浄化と雨水の利用、リチウムイオン電池の供与という形で、参加できるし、つくばには既に全てのモデルが整っているので、案がまとまれば、技術の供与は出来ると思う。私どものつくばの工場には、太陽光発電・太陽熱収集パネル・雨水利用・ホームクリーン浄水器・リチウムイオン電池等の現物が、全て実稼動していて、すぐに実行に移せる準備が整っている。

 今年は、業務用にシフトして、リチウムイオン電池と太陽光発電を使った新しい環境分野に力を入れたいと思っている。リチウムイオン電池に関しては、太陽光発電からの充電とAC100Vからの充電テスト等を日々行って、実用の目処がついている。

 このプロジェクトは長年私の頭脳に刻み込まれて来た技術で、昨年の11月に大塚氏と福島県の獏原人村で出会って開花したと思う。大塚氏は一級建築士の資格をお持ちで、大工である奥さんと一緒に設計・施工した自宅で、電気、水道のない生活環境で、太陽光発電を使い自給自足の生活を送られている。この方の生き方に同感する環境意識の高い人が多くいて、人脈が一気に広がった思いがしている。夢工房に招かれたのもこれが縁で、若い人と知り合いになれて、つくづく新しい仕事は新しい発見があって、楽しい。

 私が進めるリチウムイオン電池の仕事が新聞に掲載されたことで、市川にある高校の教師から電話があって、太陽光発電とリチウムイオン電池を使ったシステムを教材にしたいと相談も来ている。

 5月1日から上海万博が開催される。この上海万博は、史上空前の規模で行われる。国威を重んじる国での開催だし、オリンピックを上回る派手な祭典になるだろう。その上海万博の入場券まで用意して、ぜひ来て欲しいという。招待してくれたのは、世界最大の膜メーカーだ。私と、輸入交渉をしている産総研のべンチャー会社の友人と共に誘われた。正直、この話は、嬉しかった。普通、超大手の膜メーカーから我々のような零細企業に声がかかることは稀で、直接製品を買うことも出来ないのが普通だが、我々の実積が評価されたのだと思っている。私は、この会社から膜を仕入れ続けたい一心で、ひた向きにホームクリーン装置の販売をして、一応の成果を得てきた。この会社が新しいRO膜を製造販売する話が来てすぐに、8インチのRO膜を4本購入したが、十分に使えるレベルにあると判断した。

 ホームクリーンについては、どうしても欲しい方のみの、受注生産に移行する。ホームクリーンは、ご承知のように材料費以外はほとんど無料で対応して来たが、狙いは膜の普及だったが、初期の目的は果たしたと理解している。この仕事は、販売地域が広くなり、更に水質が極端に悪い顧客が増えてRO装置が必要になるケースも増えている。今後はROを組み込んだ装置もつくるし、オプションとして部品の販売も始める。ユーザーの方の予算に応じて、購入できる方法にも転換していきたい。

 井戸水は、単に飲めればよいと言った層から、オール電化に代えたい客が増え、水道水以上に浄化したい消費者が増えて、要求が高度になりだした。私はこのニーズに応える為に、イオン交換樹脂の装置を提供し、ホームクリーンとして販売して来たが、少し資金を貯めたいので、家庭用を少し押さえて業務用に転換を急いでいる。海外からの仕事も増えだして単品販売に踏み切って、お客さんに、様々な形で装置を提供し、都内向けの災害用リチウムイオン電池を使った浄水器を拡販する為に、営業拠点をつくばのショールームを閉めて東京に開店する予定でいる。私たちは、今後も変わりはないが、身の丈にあった、会社で、気楽に働きたいと思う。

 先月も大分の建設会社の社長から、知り合いの会社に装置を売りたいので、販売してくれと言ってこられた。申し訳ないが、紹介者が中に入ると、販売価格がアップするので、お断りした。昨年来、九州の5、6箇所から相談・問い合わせがあったが、装置代・輸送費・工事代・技術者を派遣する費用等を加えると、装置の価格はかなりアップする。最高水準の水を提供するより、今も、悪い水を使用して困っているお客さんには、少しでも水質を改善できる、高度な膜を単品で販売する方式にした方が喜ばれるだろうと判断している。

 東京に再進出を決めたのは、地震災害に使える装置の販売に、ある程度の自信を持ったのと、ハイチ・ペルー・チベット地区と地震が続発していることがある。この分野は当社が得意分野なので、世界的に通じる価格で販売し、社会貢献をしたいし、装置開発の要望も寄せられている。

 私の見方は、上海万博が中国経済のピークで、その後、経済は世界的に、しかも急速に悪くなると思う。その影響をもろに受けるのが、アメリカ・ヨーロッパの欧米諸国だ。日本は、悪すぎて比較も出来ないが、赤字国債は900兆円を超え、やがて1000兆円を突破する。世界に例を見ない、“恐怖の大台”に到達することで、世界規模での影響は避けられず、図りしれない損害を出すと思う。この微妙な時期に、田舎暮らしでは感覚が鈍くなるし、最近は体の調子も良いので、最後の挑戦として東京を選びたいと思う。日本の信用は今回のサミットで崩壊したが、結論すれば、良かったと思う。アメリカも深刻な経済不況が加速するし、中国が行き詰まれば地球規模で影響を受けるだろう。こんな状況では、“自立した”ビジネス、またライフスタイルに変えないと乗り越えられない。環境・エネルギーに強い会社にしたいし、次世代は、太陽光とリチウムイオン電池を核にしたい。私のつくばの工場には既にこの技術が稼動していて、40AHのリチウムイオン電池に、太陽光充電に成功したし、160AHのリチウムイオン電池も使える目処がたった。
 
 業務用に特化すれば、装置の製作に集中出来、空いた時間に太陽光発電と太陽光熱収集パネルに力を入れる。“新しい事業にする為に”変化を選択しているが、意欲的に取り組める環境を大切にしている。今年は新しい、そして大きな節目でもあると感じている。