戻る
◆ ビジネスチャンス2010/03/13 (Sat)

「日本の国力低下が、むしろビジネスチャンスになる」

 2月の中旬、水野と上田の2名を、ネパールのカトマンズにある小学校に、災害用を兼ねた浄水装置を寄付する事業に参加させた。一週間の滞在の中で有益な体験をしたようだが、報告を聞くと、現地では常に断水・停電が続く状態で、もちろん水質も悪く、あちこちで電力不足のため、発電機を使用しているため、大気汚染も深刻だったと聞いた。
 今回の浄水装置を寄付するプロジェクトは、下館RCとネパールのRCが立ち上げた行事だが、我々は装置の製作を担当している。ホームクリーン装置をベースに、現地の電気事情を考慮し、特別仕様で製作した。現地では贈呈式を兼ねて、日本大使館で地元の有力者が集い、現地から代理店を希望され、更に、ネパールの大学から太陽光で稼動する浄水器の開発を依頼されるなど、話が具体化している。ネパールは電力が不足していて、太陽光発電単体でも仕事になると見ている。
 昨年は、ミャンマーにも、透析用のダイアライザーを数本と小型の膜浄水器を大分の建設会社経由で贈った。先日、現地で使用されている様子が写真で届き、今後も協力を頼まれた。この写真はNPOのホームページ上で掲載してある。数は少量だが、ベトナム、インドネシア、カンボジア、ネパール、ミャンマーに当社の装置が送られた事になり、私のような零細企業でも行える、身の丈に合った社会貢献として広まっている。この動きは誠に嬉しい。昨年の12月にカンボジアでビジネスをする人に頼まれて手動式の浄水器を開発し持参した。この装置が中国の地方政府に報告されて、何度も詳細な情報を聞かれたが、私も忙しいので、後回しにしていたが、この話が地方政府とプロジェクトをつくって現地で製造する話も出ている。私は、ソーラーパネルで発電できる、小型のRO膜浄水器をユニット化した装置の開発を急いでいる。

 下妻のホテルからROの増設の相談があったので、試しに、中国にRO膜の調査を行った。私が膜を注文する話から、逆に中国から、中型のRO装置の技術供与の依頼があった。中国の農村では、水と土壌のアルカリ汚染が深刻化して、RO装置へのニーズが高い。こうした一連の動きもあって、伸びそうな予感がする。私はここ5年程、中国と協力し合ってきたので、中国にあるルートを通じて、ROの技術を教えるつもりだ。中国ではRO膜の価格も上がって、上位機種は当社より高いので、中国にも売れる時が来たと見ている。今年中に、西安に拠点を設ける案を本格的に考えている。

 太陽光の開発を始めたが、未知の分野なので面白い。少しずつ進んでいるし、進捗状況は、90%ほどになった。新しいインバーターが、今週届くので、評価が終われば実用化が目の前となる。先般、太陽光を組み合わせた浄水システムが、日本経済新聞と、日刊工業新聞に掲載された。賛同する方のお電話もあったが、ある人から、「価格が安過ぎて信用し難い」と疑問の声が届き、返事に窮している。私は、太陽光発電事業は、アジアを中心としたビジネスになっていくと思うので、やはり“アジア価格”にすべきだというこだわりを持って開発してきた。

 3月6日には日刊工業新聞を見た方が2名見えた。ドイツに本社を置く、工作機メーカーの方と、商社を退職した方が、太陽光で稼動する浄水システムを見学に見えた。この会社はインドに工場があって、現地法人の会社がインドの水事情の悪さと電力不足から当社と提携したいらしい。この話とは別に、排水の仕事も来てはいるが、私は、インドにも興味があって、インドの仕事が大きく膨らむと、中国との仕事も活きてくるで、少し新しい可能性へ発展すると考えている。インドと中国はこれから益々伸びてゆく大国なので、種を植えておきたいと思っている。今年は、インド・中国・ネパール・ベトナムの話が進んでいるので、早急に見本となる装置を持参してPRを始めて、具体化していく考えだ。

“太陽光ビジネス”は、国際的なニーズがあるビジネスだと思っている。一番重要なのは、価格だ。中国の価格とアメリカの価格を足して2で割った価格が“国際価格”になるとに見ている。
 先日、東京ビックサイトで、「PV EXPO」という太陽光発電に関した展示会が開催されが、この展示会を見ても、太陽光発電は目覚しい。10時の開場を待てず、見学者が押し寄せるほどの盛況ぶりだった。数年前から、この展示会を見て来たが、いよいよビジネスに結びつく雰囲気を感じた。海外企業からの出展も増えて、価格を調べて見ると、日本と比べて海外勢の価格は2〜3割安く、この分野も日本製は、苦戦すると感じた。私の価格は安い方だが、要は、「国際的な価格水準」に合わなければ意味がない。太陽光パネルの価格も、日本製は高過ぎる。180Wのパネルを比較して見ても、中国製とは、4〜5万円程度の差がある。中国製は日本製より劣ると悪口を叩く人も多いが、技術の差は縮小している。私は、“価格も技術の一部”で、技術は最低の条件で、価格に競走力がないと興味が沸かないとさえ思っている。中国は世界最大の国に躍り出たし、この分野も中国のパワーは凄いと思う。私は彼等との人脈もあるので、勝負を賭けたいと思っている。

 日本人は、欧米の製品と比べ、中国製品には差別感があって上からの目線で見る傾向にあるが、実際は、見習う面も多いと思う。また、「日本製は最高品質」だと思っているが、実態は、日本の価格とシステムは競争力がないことが悲しい。当面は、中国製、アメリカ製の部品を使い、日本の製造技術を生かした新しい商材を開発していくつもりだ。日本の太陽光発電は、電力会社に電力を売る「売電型」で普及している。つまり、電力会社の制約で縛られた、限られた世界のビジネスということになる。現に、補助金と談合で発展しているので、コストが下がらないでいる。この形は陰湿で、仕事に躍動感が沸いてこないし、国際競争力はないと思う。私は、「独立型太陽光発電システム」が、将来本命になると見ているので、蓄電池のビジネスを調べているが、独立型を含めた蓄電池形式は、日本の技術も機器も、開発が遅れている様子だ。

 私は、太陽光発電のみで、2kwクラスの電源確保を基本にしたモデルケースをビジネスの柱に考えて、必要機器を調達して来たが、ぶつかった印象は、次世代のエネルギービジネスとしてはローカルな業界だと感じている。コントローラー・バッテリー・インバーターも日本では、限定された数社が独占状態で、価格も内外格差が激しい。インバーターは、2kw以上になると、日本では24万円以上もするが、中国では約半値以下で買える。価格を調べだすと訳が分からなくなる世界で、これからなのだと実感している。補助金となる政府の予算が、おそらく数年後にはなくなると思うので、売電型のビジネスは壁にぶつかると思う。それを機に、蓄電型へのニーズが急速に伸びると思うので、アメリカ・欧州・中国・韓国・台湾・インドを含めた各国の部品のルートを調べ、競争力のある装置にすべく、私は、ここ数ヶ月で数百万円を捨て調査をしている。最初は、ソーラーパネルを買ったが、品質にバラつきがあって、12Vだ、24Vだと混ざって送られて混乱もしたが、最近は改善された。こちら側も未成熟のために、戸惑ったが、少しは中身が見えて来た。中国人と仕事をするには、我慢と忍耐が欠かせないと思う。初めは騙されたと思って割り切って仕事をすると、案外面白い。最初から、注文した物が無事に届くことはまずない。砂を掘り砂金を探しだす心境が大事で、忍耐と我慢が求められる。梱包も悪いし、説明書も不備で、とにかくうんざりしてしまうが、その内慣れてくる。
 25年前、中国に対する鉄の技術援助が盛んだった頃、当時の社長が、中国の工場を視察した際、「工場をもっときれいにしなさい」と訓辞をした話をいつも思い出す。日本では当たり前の話だが、当時の中国人の工員にとっては、この「きれいにしなさい」と言う言葉の意味が分からない。当時は、きれいな工場などないし、きれいな状態がわからないのだ。この乖離した経験も含め、外国と仕事をする中で多くのことを学べる。アメリカでも同様で、30年前は、ほとんど使い物にならない製品が多かった。私達がこれからを考えたとき、今、ガラクタに見える商品でも、工夫を凝らして改良し、新しい装置に組み変えれば、すごい商材が生まれる可能もある。中国は面白い国で、一流品、二流品、コピー製品、まがい物とありとあらゆる商品が溢れている。日本では品質が整っていて面白さがないが、中国製はそういう点で面白い。

 ネパールから150万円で、太陽光発電で使える浄水器の開発の依頼が来た。この話も早急に、具体化して、3月中には太陽光の仕事に目処をつけたいと考えている。

 ハイチ・チリでの大地震が起き、地球が真剣に怒っているようで、災害対策装置も、今後の重要な製品になるだろうと気を引き締めている。本業の仕事も地元つくばの病院のRO装置、赤塚工場の近所の家にホームクリーン装置を納入したが、ここは、色、臭いがひどかったので、お客は大変喜ばれた。3月末には印旛、4月にもつくばに納入することが決まっている。山梨、常陸太田の方からは、湧き水を使用している方から問い合わせが来て、ショールームに見えた。澤の水は、冬場は融雪剤によって汚染され、RO装置が必要になる。その外、我孫子、福岡、印旛村から見積りの要請があって、下妻のホテルからRO装置の増設もする。

 少し前には、政界の動きに関心を抱いていたが、鳩山、小沢氏のお金の問題に終始して、興ざめしている。民主の政治は素人ぶりが目立ち、自民の情けないほどの弱体化は深刻だ。論戦も不毛で、このままでは、日本自体が沈没してしまう状態だ。私は、自民が敗北し、政権交代して喜んだが、民主党も “同じ穴のムジナ”で、当て外れだった。政権をとって半年が過ぎたが、何故、思い切った政治を展開しないのか訳が分からない。普天間の問題も実は自公政権が決めた案を単に少し変えただけの考えで、ワガママ案で、何一つ進歩が見えない。育ちが良すぎるのか、鳩山首相の言葉も軽過ぎて真摯姿勢には思えない。当面は我慢が続くが、日本の政治はぬるま湯で、日本の実情を現している。

 バンクーバーオリンピックが終わって正直、ホッとしている。日本選手の実力は国際的に見て見劣りしてしるし、多くの選手を送り込んだ割には、好成績の選手が少ない。日本の国力の低下ばかりが目立ち、建て直しは難しいと思う。経済も、政治も、スポーツも三流の国に成り下がり、衰退ばかりが目立つが、報道姿勢も子供じみていて、人の失敗ばかりを煽っていて不愉快だ。服装で批判を浴びた国母選手への批判も、執拗で、許しがたかった。決勝戦まで進んだ彼の雄姿より、バランスを崩した写真だけをデカデカと掲載する報道姿勢は地に落ちていて、このレベルの報道では、報道離れ、新聞離れが加速して業として消滅するのは当然だと思う。

 ここ最近は、アジアが急成長しているのか、国内より海外の話題が増えて来ている。日本は、北朝鮮についで、劣悪な経済状態にあるが、JALが倒産し、トヨタもリコール問題で大揺れし、日本の権威も衰退しているが、私は国力の低下が、新しい動きにつながると期待をしている。トヨタも世界一になった驕りから批判を浴びたが、皮をめくれば普通の会社だった。二番手三番手で頑張れば再起の可能性もある。驕り、傲慢さは日本が衰退すれば改まる。私は、最低限、背伸びをしないで、社員が食べていける「お金儲け」を基本に物事を考えていて、日本の国力が低下したおかげで中国が台頭し、日本の価値が下がるのに歯止めがかかったと見ている。水ビジネスを見ても価格は日本製と同等になって来たし、品質から言えば逆転の可能性もある。近い将来、ビジネスは大きく変貌すると見ているし、提携話を具体化したりして若者に希望が持てる仕事につなげたいと考えている。