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■ ソーラー・レオ2009/12/27 (Sun)

 22日、産総研の友人から慌しく電話が来て、麻衣子の様子がおかしいので、何が起きたのかと詰問された。私も分からなかったので、確かめると、「レオが死んでしまった」と声を震わせて伝えて来た。耳を疑った。ほんの少し前には元気そのものだった。私も、経験したことのない衝撃を受けた。レオは、皆で可愛がっていた子猫の名で、普通の人には、たかが猫ぐらいと思って当然だが、水野をはじめ、みんなにとってかけがえのない猫だった。約半年の間、生まれたての迷い猫だが、孤独で、殺伐となりがちな作業場を、潤いに満ちた場所に変えてくれた。私にすれば、この子がこんなパワーを持つことは予想していなかった。小さな生き物だが、大きな生命力を秘めていた。初めて訪れる人を恐れることもなく、迎えるような態度は、「招き猫」そのもので、私も学ぶことが多かった。どこで事故にあったのかは不明だったが、頭を強打して、工場の前で力つきて死亡したと聞いた。皆に会いたかったのだと思うが、なんとも痛ましく、私としては辛すぎた。今まで、涙を流した経験などほとんどなかったが、この子と別れることは、水野と麻衣子の大切な宝物を失った悲しみも合わさって、耐えがたかった。私は仕事があったので、火葬場まで同行しなかったが、打ち合わせ先の方に、今日の落ち込みは立ち直れないとつぶやくと、その方も同じ体験をしていて、その気持ちはよくわかると励まされた。レオが倒れた場所に、その日に到着した太陽光のパネルを置いて発電する。今後展開する太陽光発電の商品名を「ソーラー・レオ」と名づけて事業展開を決めている。

 今回、水野をカンボジアに調査に行かせた。カンボジアは、平均年齢21歳という、恐るべき若さの国だ。この地で、小規模な鉄の加工工場を建てるとどうなるか、と考えている。企業の形態は、日本と現地を結ぶ“アンテナショップ”の役割を果たせるようにで、必要最低限の加工設備を揃えて、膜装置の製造が出来る程度で良い。日本でも、つくばの工場は、敷地面積は300坪だが、十分役割を果たしている。21歳の若者たちに、日本のものづくりの技術を教える場を提供するという意味合いも、今回、水野の報告を聞いたことで、思いついた。カンボジアを含めて、メコンデルタ一帯が、今後急成長する、唯一の地域だと考えられている。中国もこの場所に2兆円の投資をすることを決め、日本も6000億円を投資する。金額に差はあるが、日中が激突する、重要なエリアであることは間違いない。この地に、製造拠点とものづくりの教育の場を設ければ、急速な経済成長に伴って、産業とものづくりがない国なので、必ず“製造物の量産”というニーズが生まれてくる。これを情報源としてつかめれば、現地と、日本の製造拠点が結ばれる。日本でつくれば、新たな工場建設の投資はいらない。しかし現地の情報が得られないことには、日本の製造業は取り残される。残念ながら、この日本は国自体に“戦略”が見えないし、企業が国家を超える企業戦略を打ち出さないと、国の成長はない。もちろん、税収も上がらない。現状を見て、国の成長戦略を求める声は大きいが、所詮、高望みで無理だと思う。国民の生活レベルは、過去の遺産の喰い潰しで、現在は高レベルに見えるが、国に成長力が乏しいので、発展する意欲を感じない。社会に不況感と不安感が増すと、人の意欲も湧かないので、更なる悪循環を呼ぶ。工場の電源は、太陽光発電で賄える範囲で、溶接機械と切断機等で始めれば良い。有志が集まって1000万円ほど投資すれば、始められると思う。

 太陽光発電の設備一式を購入して、小規模な工業レベルに使える太陽光システムの開発を始めている。太陽光発電に関しての、従来の日本政府の考え方は、「石油に変わる、自然エネルギーの活用」であるが、“東電への売電”と、“補助金”を元にした、曖昧な形での普及が目指されている。電力会社に安く売電するという形で進むと、本来の目的である自然エネルギーの活用というメリットは失われる。私は、太陽光発電は、「独立型のシステム」で普及させるべきだと思う。全く電気のない地域で、太陽光発電システムと周辺の技術の組み合わせを効率よくマスターし、経験を積まないと、自然相手に高効率の発電は出来ない。ネパールやカンボジア、ミャンマー等、電力のない地域で、ものづくりが出来る、ミニプラントのインフラ設備を提案する仕事も考えている。海外でのビジネス展開は、一社では負担が大きいが、☆中古の装置・機械を供出する会社、☆技術者を派遣する会社、☆水処理の技術のある会社、☆太陽光発電技術のある会社、☆現地でコーディネイトする会社等が集まれば、アジアに活路が広がる可能性がある。今後は、生活の質を落とす覚悟が求められるが、まだ、チャンスはある。最近は、中国の製造コストが人件費と共に上昇し、日本と変わらなくなったので、品質さえ優れていれば、コストに差がなくなることで自然と勝機は増える。今、一部を、下請企業から脱皮し、“自社ブランドの製品開発”に切り替える必要がある。

 フィリピンに、平膜を2枚販売する。狙いは、市場調査だ。情報では、現地の日本企業も不況により、膨大な配管部品の在庫を持つ会社があって、困って購入を打診されている。ジャカルタに、当社の浄水器を販売したが、この国はシンガポール製の装置とヤマハが市場を独占している。この国も、2.5億の人口を有する、大国で、GDPも5年後には日本を抜くと言われている。ミャンマー、カンボジア、ラオス、を含めると需要は大きいと思う。私たちは部品の購入ルートも、アメリカ・中国・日本と幅広いし、製造技術もある。この強みを生かし、現地で、製造した装置を、アジア各地を始め、日本にも逆輸入すれば、採算の目処は立つと思う。中小企業の方が、大手企業と比べ、生き残りの術は長けているし、その力を再認識すべきと思う。今では、インターネットがあれば、製造拠点にこだわる必要はない。都市では高層ビルが乱立し、高成長して、一見華やかに見えているが、内実は、歪が大きくなるばかりだ。今年も自殺者は3万人を超え、人々の心は、昭和の時代よりも、すさんでいると思う。戦後の“焼け野が原”から立ち上がった日本人のバイタリティを考えると、まだ、大いにチャンスはあるし、財産も残っている。

 ホームクリーン装置を受注生産し、手作りで製作しているが、一ヶ月3台から5台である。10台をコンスタントに販売すると採算は好転すると見ていて、この量を基準に生産量を考えている。月に5台だと目立たないが、年間に60台、10年で600台になる。この規模になると、フィルター入れ替えの仕事や、アップグレード等、膜の交換だけで、十分生活が賄えるようになると思う。

 報道で知ったが、ジャカルタのスーパーでは、炊飯器が1500円で売られていると言う。現状の日本の製造コストでは、新興国には太刀打ち出来ない。私は規模を抑え、小回りが効く会社に育てて来たので、競争力があるが、少しずつ肥満体質になりつつある。もっと、不況が厳しくなって、体質を変える意識を高めないと、当社でもこのままでは危ない。付加価値の高い製品を開発して、ある程度の目処は立っているが、新年は、1に「ホームクリーン装置の拡販」2に、「太陽光発電の学習」3に、「提携と海外展開」と決めている。今後も、倒産する会社が増え、賃金も安く、厳しい時代を迎えるが、生き抜くために、有能な人材を糾合して、新しい価値を生み出す体制を作り、チャンスを狙っている。

 千葉市緑区の方は、22日に納入を完了した。石川県にも業務用として、21日の朝、発送した。しかし、RO装置レベルの水を要求されているので、ホームクリーンにRO装置をプラスした、新機種の開発を考えている。館山の方にも納入が決まり、年明けすぐに納入する。地元つくば市の方も、S不動産の紹介で、ショールームに来られ、来年1月に自宅が改造されるので、併せて販売する。江戸崎の方も購入が決まり、23日に現地を確認した。この方は人工透析の技師さんで、母親が使う井戸水が心配で、当社を探し当てたらしい。

 22日、太陽光発電一式が日本に到着した。中には200Aのバッテリー6台と150Wのパネル6枚と広告版タイプの装置が含まれていたが、中国との貿易の仕事は、荷を開いてみないと品質がわからないというあやふやな状態が普通だ。とても危険な事だが、育てる必要がある。リスクも大きいが、人脈も広がる。広告版は人に売れるレベルではなかったが、ソーラーパネルは、基準値レベルなので、使えそうだ。太陽光パネルの商品名を「ソーラー・レオ」として、試験的に販売を始めたい。

 10日の朝早く、ネパール向け浄水装置を発送した。下館のロータリークラブから、ネパールのロータリークラブとの「交流50周年記念」で当社に声がかかった。一口に50年間と言っても、すごい年月で、交流が続いていることに感心する。3台の膜浄水装置を学校に納入するが、ネパールでは停電が多発するので、手動式の装置も製作した。その後のことも考えて、太陽光発電で動く、浄水装置を開発して、近々実証実験を行う予定である。現地設置と調整には、水野と上田を派遣し、その後、麻紀と麻衣子を使用状況などの調査に派遣するつもりでいる。

 民主党政権に、早くも暗雲が漂っている。何故か、日本では指導者が育たないのか決断が出来ない。国にお金が無いと言っては論議ばかりで、何も決まらない。しかし、お金がない割には、海外での“大判振い癖”は治らない。アフガンに6000億円、メコンデルタに同じく6000億円、温暖化支援に1.8兆円を拠出すると言う。本当かと疑ってしまう。日本の現状はアジアでは北朝鮮の次に経済が低迷して崩壊状態にあると言うのに、全く自覚が足りない。日本の国民の意識に危機感はないし、諦めがちだが、確実に崩壊に向かっている。
 
 産総研のベンチャー企業の代表者と会食した。産総研で日本初の超音波を使った非接触型の可視化装置が開発された。我々も筐体提供という形でこのプロジェクトに参加している。

 今年も一年、生き延びることができたことを感謝したいと思う。皆様にも、良い年が来るようにお祈りして、今年最後の営業日誌とします。良いお年を。