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■ 厳しい世相、新しい動き2009/05/20 (Wed)

 本腰を入れないと、企業自体の生存すら難しい時代に突入した。各社は生き残りをかけて、知恵を絞って様々な販売策を模索しているが、行き着く先は“安売り競争”しかない。この安売り戦争で、例え勝ち残っても、企業力は低下し、負のスパイラルに陥って、企業が地盤沈下を起こすだろう。ここ最近、輸出も半減し、外貨獲得も50%減と聞くが、日本に海外へ売れるものがあるのか、逆に疑問に感じてしまう。それほど今の日本製品には魅力を感じない。これからも大手の決算は大幅な赤字になり、リストラが始まって、このままいくと沈没状態になるのでないかと心配だ。つくばでも、表面上は変わらないが、地元の有力者や銀行の担当者は一様に、状況が悪いので、私の会社が忙しい様子を見て羨ましいと言われた。ここ数年は停滞した社会が続くし、大きな覚悟が求められる。

 電力会社から、「業務用ヒートポンプ対応型」のRO浄水機の製作を打診されている。エコキュートの大型版装置で、対応するには“時間3トンのRO装置”が必要になる。このクラスは業務用としては小型の装置で、電力会社が提示する価格になると、大手企業では採算に合わない。我々は、家庭用のエコキュート向けにホームクリーン装置で家全体の水を浄化するシステムを販売してきたが、その噂が広まり、電力会社の業務用エコキュートの商談話につながったのだと思う。電力会社各社は、オール電化を売りに、水道専用のエコキュートの販売を伸ばしてきたが、ほぼ行渡ってしまった為、次の市場として、“地下水利用のエコキュート”の開拓を考えているようだ。汚染された地下水は、そのままでは使えない為、大きな壁になっているが、当社はこの課題に5年前から取り組んで、実績と経験を積んできた。エコキュートのメーカー側は、地下水での使用を原則禁止しているが、この市場を制すると大きい。ここに来て当社の技術に注目が集まって、問い合わせが増えている。業務用のエコキュート用のRO装置の製作の打診が我々に来たのは、ズバリ“コスト”だろう。当社がエコキュートの世界で抜きん出る為には、何でもするし、コストを抑えたシンプルな装置をつくれるので、この状況はまさに、時が我々を呼んでいる感じだ。現在の各電力会社は、業務用のエコキュートの普及に力を入れているが、原油の価格も下がり、このままだと、エコキュートを採用する利点が伴わない。大型のヒートポンプシステムは“水”が命で、シリカ・カルシウム・マグネシウム・鉄等の不純物を取り省いた水でないと使えない。そのまま使うと、装置内でイオン物質が析出して、装置が壊れる原因になる。純度の高い水をつくるにはRO装置が必要になり、装置が高ければ、採算に合わない。つまり、時間3トンクラスの純水のRO装置が安くつくれると、大きな市場が開けることになる。現在の一搬的な時間3トンクラスの純水装置の価格は、およそ1000万円を越す。少なくとも30%以上のコストダウンが実現しなければ、例えこのプロジェクトが温暖化対策に有効であっても、うま味はない。私はいつも、トータルしても日本のコストは高過ぎると思っている。輸出が停滞しているのも、コストが高過ぎて世界から見捨てられている証拠だと思う。隣の韓国も、3ヶ月前には輸出が停滞してウォンが急落したが、現在の輸出は黒字を計上している。世界で抜きん出た会社になることを目指している当社は「採算が取れる装置をいかにつくるか」が生存のポイントになると考え、常に最安の中国のコストを意識して開発を進めている。“品質維持”は最低条件で、シンプルな装置をどれだけ安く提供出来て、“競争力のある商品を開発”ができるかを目指している。我々も信用と企業イメージを高める為には、業務用の開発に取り組むことも一案で、この分野で勝てれば、家庭用のホームクリーン装置の販売に弾みがついて、装置の価格も下がると思っている。

 4月末に超純水の装置を納入した。立ち上げに連休明けまでかかったが、この装置は17.5Mの超純水が得られる、当社一押しの装置だ。この不況の中で、高レベルの仕事に恵まれたが、納入先の会社は、着々と次の投資を行っている。この浄水装置は最高ランクで、水野が担当し数人の補佐で完成させた。どんな高価な装置でも実質一人で仕上げないと生産性から見て中国には勝てない。当社は常に中国を意識して働いていているが、品質とコストは負けないレベルにある。
台東区から非常用装置3台分の見積りを頼まれた。補正予算が通ると公共工事の仕事が動き出す。老人ホームは5月中に納入が出来そうだ。遅れているホームクリーン装置の製作も順次始めているが、6インチ膜仕様のホームクリーン装置は上手く完成した。この装置は処理水量が増えるので、二世帯住宅や小業務用向けた上位機種にしたい。最近はコンスタントに売れだし、当面は月10台の売り上げを目標にしている。

 私は、不況には影響されにくい体質の会社を目指している。自立しないと小さな会社は、政治にも社会にも頼れない。今回の政府案は、底上げの場当たり対策で、景気が一時的に持っても長続きはしない。麻生内閣の、国の金を惜しげもなく使って政権維持をする姿は危険極まりない。私は伸びる機会もあったが、我慢して、規模を小さくし、内容に力を入れている。今は、国も社会も信用出来ないのだ。超純水装置から、10インチの大型膜装置も自社で作れるレベルが確立したが、エコキュ−トの世界ではドン欲に勝ち残りたいと思っている。この時期、中途半端な規模の会社では、不況に耐えられないし、技術の追及・研鑽の目標にシンプルな考え方を浸透させたいと思っている。

 漠然と環境・水のビジネスが伸びると評論家は言うが、企業向けの水の仕事は激減すると見ている。私は、テーマを「エコと再生」に絞っている。これから益々、業務用水処理装置のコストは厳しくなる。当社のコスト競争力はまだ、余裕があるので、売上げは3割ほど伸びると思う。しかし、この余力は多くの犠牲から生まれた競争力で、歪な体質でもある。私自身給与はないし、働く若者も安い給与で働いている。もう少し売り上げを拡大して、給与も上げたいと思っている。私は細々と地味に仕事を重ねて来た。特に、企業向けは避け、個人相手にプロ用の装置を投入し、水の仕事を広げて来た。民生向けの仕事は目に見えにくいが 、「井戸水だけど、エコキュートを入れたい」というニーズは広がっている。水の化学反応で電気をつくる燃料電池もまた、地下水を使えないので、燃料電池が普及すれば、当社の装置の需要は拡大する。今回“超純水装置”を納入したが、この装置も大手企業は地下水を避けている。当社の知名度があがれば、年間数台は売れると思う。時間1トン処理の超純水装置を1ヶ月1.5人で完成する力があるので、大手企業でも負けるわけがない。

 当社のNPOで働いていた人が、仕事を覚えて営業を希望した。私は、営業されると後々のメンテナンスや対応が大変なので、極力営業をしないでくれと頼んだが、理解されなかった。この不況時に営業しても簡単には売れないし、売れる商品開発に力を入れ、売れる準備を戦略的に構築すれば、買いたい人が自ら現われる。今は、外需も内需も伸びないが、私の規模であれば今の不況は最大のチャンスで、待つだけで十分、ビジネスになる。同業の会社は、当社より10倍ほど大きいが、仕事量が減り大変らしい。海外に依存している会社も苦しい。日本は当分、この程度だと思って間違いはないので、仕事が減ると会社自体が危うくなる。慌てないで力をつけて待っていると、落ち葉を拾うように仕事が集まって来る。

 インドからも、大型RO装置と、平膜を使用した大型排水処理システムの話があるが、個人のコンサルタント会社の仲介なので、話が浮いたり沈んだりしている。個人は優秀でも、今の世相では大変な作業だ。私の会社を隠れ蓑にして、総額15億円の大風呂敷を広げているが、時が来たら纏まる可能性もある。排水設備と共に、1日200トンのRO装置が必要というのは、大掛かりな仕事だ。以前、横浜のF見電子に納入した装置がこのクラスだ。スムーズに稼動させるには、最低時間20トン、10インチ型が10本のUF膜前処理装置が必要になる。排水のリサイクルは、“平膜”が欠かせない。洗浄水へのリサイクルも、平膜が10台必要になるが、1台は購入したのでテストは出来る。インドの酒造会社からの相談で、直にオーナーと対面したが、話が大きくなりすぎて戸惑っていた。私も最近はスケールが小さい人間になったと思う。10億円を越える商談が来ると嘘だと疑って頭が動かない。しかし、よくよく考えて見ると大した話ではない。以前、大企業にいたときは、当社のステンレス加工を請けている会社に3億円出資したこともある。士別の牧場も、開墾し、羊の厩舎を建造して、レストランまで開店させたが、総工費10億円はかかったと思う。当社の排水・浄化装置を20台、計15億円で購入するという話に驚くのは、おかしいとは思うが、にわかに信じられないのだ。彼等は、当社の“価格”に期待を寄せているが、私自身もインドに関心がある割には臆病で体が動かない。支払いに問題が無い限り受注は出来ると思う。準備は出来ているし、流れでこの話は決まると思っている。個人のコンサルタント会社も、話が大き過ぎて周囲から信用されないが、私も独立時は、同じような経験を何度もした。独立前は世界の会社をリサーチする仕事で、大手の看板を背に飛び回り、独立後も不思議と仕事には恵まれて会社は伸びてきた。インドは、11億の人口を抱えた国で、そのうちの1億人が富裕層だと言う。日本の総人口の全てが富裕層になる勘定で、末恐ろしい。私が若ければリスクを冒してもインドの話を請けるが、今は年老いて、単独で請けられない。マンパワーを増やし、少し経営規模を拡げる必要もあると考えている。