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■ 中国ビジネスの再構築を図る2009/05/04 (Mon)

 昨年9月以降、不況のあおりを受け2008年度の売上げは2割減を計上した。この程度の減収で良かったと思う。4月からの新しい年度は厳しいながら手応えがありそうな予感がしている。不況を乗り切る為に、企業は必死に努力しているし、節約だけでは生活が味気ないので少し動き始めた。私はいつも通りの自然体で生きているが、一方では、100年に一度と言われる不況で製造業は厳しい。低価格競争が過熱して、安い商品に人気が集まっているが、安売りは企業の体力を奪い、先は益々厳しくなると思う。安さではなく、独自性に富んだ商品でないと続かないと危惧している。
 当社の井戸水ホームクリーン装置は少し知られ出したのか、コンスタントに売れだした。今月は福岡、千葉の市川市の方、つくばの医院、木更津の方が決定、大型は、老人ホームから前金の入金があったので、直ぐに製作に入る。

 先月末、私と水野、友人の博士の3人で、中国の膜メーカーを訪問した。私は、次の仕事の焦点に「大型膜プラント装置」と「排水・浄水用平膜」を考えている。多分、世界No.1であろうこの会社は、営業部員1000名を抱えるなどスケールが大きく、水需要の拡大で成長力も桁外れだ。この会社と関係を築くため、ここ数年に亘り投資を続けて来たので、一度は尋ねてみたいと楽しみにしていた。上手く提携が実現すると、我々も日本有数の膜メーカーになれると確信している。最新の平膜装置を見たが、品質は写真よりも優れていた。当社のプールで学習・体得し、実務に繋げる為に、特別仕様の膜をオーダーし快諾を得た。

 中国へ出発する前に、士別の牧場のオーナーから電話があった。私の体を気使った内容だった。私は将来、この会社と、水の仕事をする機会があるだろうと予感して、この牧場には、10インチの大型膜を納入しており、ファームレストラン前のサイロ内に据えて浄水している。水の仕事は、プラント技術と配管技術を組み合わせた仕事だ。担当した現地の技術者も優秀で、大きな仕事に慣れているので即戦力になる。私がコーディネートして、実務を共同で行えば、国内でも大型の仕事が増えると思う。土木の仕事は、現状は地方も厳しいし、公共工事も減る一方だ。その点水の仕事は増える方向にある。近い将来には、お互いに価値のある仕事に浮上すると思う。今回、平膜装置の導入を決断したのもこうした狙いがある。大きな話をすると周囲は私の体を心配して、控えめにするように進言してくれるが、「病気上手の死に下手」の諺通り、病気には慣れていて、しぶとく生きているので、私は心配していない。

 3年ぶりに上海を訪問したが、中国の進歩はスケールを越え、猛スピードで驀進していた。工場までは高速道路を走り、帰りは新幹線を使ったが、快適な旅が出来た。車窓からは、中国の古くて貧しい田舎の部分が破壊されて建て直される光景が見え、日本で言う“格差”との質の違いを感じた。上海での夜景は、高層ビル群がライトアップされ、今の中国を象徴するかのような見事さで感心した。中国の環境対策も、日本より真面目に取り組まれている。まず北京でのバス代が安い。何十キロ乗っても一律「5円」と破格だ。運賃を安く抑えて、自動車の増加を抑制するのが狙いらしい。タクシー代も驚くほど安い。30分走って、料金は「300円」程で、500kmを高速使用でも3万5千円で走れた。燃料費も世界共通、車の程度も悪くない、人件費も4〜6万円なのになぜここまで安く出来るのか不思議だ。新幹線も安かった。150kmの道のりが、400円だった。だがここまでしても、水を含めて環境汚染の実情は全土で深刻なようだ。真面目にならざるを得ない現実があって、上層部は危機意識に満ちている。
 この世界的な不況の中でさえ中国の経済は堅調で、車の売上げは史上最高を記録し、中国人の欲望は止まらない。不動産価格も上昇して、中国は世界の中で一人勝ちだ。そんな最中でも、中国の飲食店のアルバイトの月給は1〜2万円で昔から変わらない。このほんの一面を見ても、どんなに日本が頑張っても、この低賃金と巨大な人口のパワーには、日本は太刀打ち出来ないことは明白だ。中国は物真似の技術が特に優れている。日本も、アメリカの物真似をベースにした改良技術が主流で、両国の技術水準は互角だと思う。日本にはない中国の面白いところは、すぐに潰れる安物から最高級品のコピーが揃っていることだ。問題はコストで、日本の場合は壊滅的で、今のままでは世界から取り残される。様々な中国製品を眺めているだけで、多くを学べるし、それを改良して新しい息吹を注ぎたい。今後も目が離せない。
 上海の旧市街に植民地時代に建てられた洋風の建築が多く残されて、観光地になっている。その中の洒落たホテルに宿泊したが、日本並みに部屋も狭かったし、トイレの水もスムーズには流れなかった。よくある話だが、何故かホッとした。急成長しても、サービス・細かい気配り・公衆面でのマナー・エチケット等は日本に「分」がある。日本が中国に勝てるのは、“創造力とソフト面”それに小さなことを改良する真面目さだと思う。ハード面は、残念ながら一部のハイテク・先端技術以外は勝つ見込みはない。日本政府はソーラーパネルで再び世界一を目指すと言っているが、恐らく数年後には量質共に、中国が一番になるだろう。水の仕事が起動に乗れば、ソーラーパネルの導入も考えている。

 排水浄化について、インドから話がある。この国は1億人の富裕層がいること、親日家も多いことに加えて若くて巨大なマーケットが存在している。11億の人口のうち70%以上が30歳代以下で占められた若い国だ。英語も堪能だし、更なる発展の可能性は高い。インドとのビジネスには、日本の気配り、知恵、創造性、中国の生産力とパワーを組み合わせないとこの国の勢いには負けてしまう。どうにかこの大国とビジネスが出来る糸口を作っておきたい。インドでの飲料水は、ほとんどが井戸水だ。インド全体の井戸の数も150万戸もあるらしい。この巨大なマーケットを見ても魅力的だ。当社は日本でも珍しい“井戸水浄化の専門メーカー”だし、このマーケットに参入するには最も適した会社だと自負している。中国も巨大市場だが、今からでは遅いし、スピードが全く違うので参入は難しい。インドの市場は、インド人でも複雑で、スピードは遅い。日本全体のコストは高いが、当社は“安売りの川手”と揶揄されるほどで、コストでは負けないと思う。中国製品は安いが、品質に問題があるし、日本流にアレンジし、使い易さを追求した商品に代えれば、商材として十分に使える。

 水の仕事を20年間続けて来たが、やっと「平膜」と「大型膜」にたどり着いて目処が立ちだした。韓国の会社と「膜」を共同で開発し、“我武者羅”に膜の世界に進出して来たが、成功の手応えがある。当初、膜は砂濾過の代用品ぐらいの認識の人が多くて扱う人も少なかった。試行錯誤の中、独自でマーケットを開いて来たが、膜技術の進歩はどこよりも中国が抜きん出ている。水の技術は「過酷な水市場」がないと進歩しないし、経済が急成長すると水の需要も膨らんで来る。中国の水関係の担当者は一様に、「水のビジネスは有望だ」と自信に満ち溢れているが、20年間水の仕事に携わって来た私の立場からも同感だ。コンスタントなマーケットを掴んだホームクリーン装置も、膜フィルターを使わなければ実現しなかったと思う。今後の主力の膜は6インチ・10インチの大型へと移して行くが、この世界No.1の膜メーカーと取引を続けるには当然、量が壁になる。インドの話はこの壁を越える焦点の一つになりそうなので関心を深めている。

 産総研の友人から可視化装置の筐体製作の相談が来ている。超音波で見えない傷を探査して動画で表示する。今は世界唯一の製品だ。その筐体の製作を頼まれている。彼等は私の中国ビジネスの交渉の窓口も担当しているので、私も出来る限り協力をしている。歯科医院の仕事、お寺の膜のアップグレード等、サービス的な仕事が増えているが、このサービスが信用につながると思っている。ホームクリーンは印旛村の方が29日に確認の為に見えられた。つくばの方、岡山の方、福岡の方が内定し、見積書を送る事にしている。友人のパン工場の話もあるが、24時間フル操業だし、装置が高くなるので、難しい。今は在庫が空っぽになり慌てている。5月末には順次納入したい。納入が遅れて申し訳ないと思っている。

 “不況”を合言葉に何をしてもいいという考えが、政治に蔓延している。税金を、まして、赤字国債を増発するのであれば、慎重であるべきだが、麻生政権は小泉氏が得た議席を元に、国の予算を組みなおし、今年は100兆円を超えている。総額15兆円もの補正予算の内容も、官僚達が修正した“バラ撒き案”で、選挙対策が色濃い。継続性・生活感に欠け、将来への投資とは程遠い。野党も政権争いに終始し、「政権をとれば何でもできる」と思っている節もあるが、麻生政権の尻拭いは大変だと思う。麻生氏は“首相”になりたい一心でその座に着いた人物で、官僚を使って何でもして、官僚から見ても扱い易い。対抗する小沢氏の問題で支持率も上がり、調子に乗りだした。バンバンお金を使って外遊し、意気軒昂だ。一度の外遊で1億円を使うらしい。1ヶ月に3度も中国の首脳と会って、費用効果からみて疑問だ。多くの日本国民はお金を貰うと単純に支持する習性をついて2兆円をまく。心ある国民や若者たちは、暴走する政権を止める手段がない。この“付け”は国民側に回され、大変な目にあうのは必至だ。
 北朝鮮のミサイル騒動でも、パトリオットミサイル、イージス艦を総動員し、危機感を煽って支持率を高めた。「治世の能臣、乱世の奸雄」三国志の曹操を評してこう言ったが、景気減退の最中、世界の混乱に輪をかけているのは、ずる賢い人物だと思う。今の政治家や官僚の姿は、“乱世の奸雄”のようだ。小沢一郎氏も官僚から見れば、「官僚政治を打破する」と公約しているので、嫌悪感を抱いて当然だ。法律を巧みに使い、金集めが上手いのを、金に汚たない印象を与えて潰しにかかった。秘書の逮捕劇も、法の下の平等から見ればおかしいが、小沢氏も時代からズレだした。
 
 鳩山大臣の発言にも国民から批判が集中した。彼は、立場を誤解している。大臣と言っても不支持率60%を超えた内閣の一員で、若者の失敗を罵倒する資格があるのか疑わしい。今回の騒動も、私を含めて国民の多くは、酒には飲んでも飲まれてはならないぐらいの教訓だ。彼は人気者だが、一気に地獄の底に叩き落された。国民は冷静に温かく見ているのに、鳩山氏の国民受けを狙った発言はズレている。ひと昔前であれば、少し御灸をすえて密かに若者の未来を守ってやる余裕が“御巡りさん”や“報道”にもあった。誰が悪いというのではなく、これくらいの事で大騒ぎして、若者を潰してはもったいない。世の中がギスギスとして、窮屈に感じる。少しでもはみ出すと、切り捨て・整理される。この不況と停滞感を乗りきるには、破天荒で型破りな人間が出て来て欲しい。今の日本では、人間の「新しい欲」を発掘して、斬新なビジネスの芽を育てないと、世界の孤児となるのではないかと心配だ。人間味の薄い社会は味気ないし、案外ドグマ的で非民主的な感覚に、何か得体の知れない力が宿る場合もあるので、矛盾を育てる裁量も大切にしたい。
 日本人はとにかく“お上”という存在に弱い。漢字検定の会社も、公益法人というお墨付きで発展した。これからは、国も借金にまみれて弱体化する。自らの力で乗り越えないと道は開けない。私は無名でも、育ちが悪くても、逞しい会社にしたいと思っている。それには「脱・日本」の意識も持つことも大切になると思う。

 インドネシア・タイ・ベトナム・インドの話も沈んだり浮かんだりしている。商談があっても相手に資金がないので、話が頓挫する。インドの話は少し進行している。私も日本の企業に声をかけて、日本に失望した人・インド市場に興味のある人や会社を集め、水のプロジェクトを組織化したいと考えている。経営規模をもう少し大きくして、製品の構成等を変えて、飛躍を目指したい。今、一番欲しいのは、“勇気”だ。私の背中を押してくれる力が生まれてくれば、新しい展開が開けると感じている。