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■ ガラクタ市場を考える2009/01/19 (Mon)

 20日アメリカで新大統領が就任する。新大統領に期待する声は大きいが、残念ながら期待が空回りする可能性は大だ。潜在的な期待は中国だと思って、4月までに数社と提携を完了し、我々も新しい門出を飾りたい。超純水装置、RO装置、大型膜装置、ボトリング装置、超音波洗浄、オゾン、炭酸泉、20年間、幅広く技術を集めてマスターして来た成果が芽を出しだした。つくばのショールームも支社に格上げし、つくばに重点を置き、若手に権限を移して準備万端となった。昨年末に、銀行から中小企業支援融資を薦められ、株主総会を開き陣容を固めた。役員に若手を任命し、新年早々法的な仕事から始めた。連日報道では大不況だと騒いでいるが、見方によっては、小さな会社には大きなチャンスが広がって来ると思う。アメリカに輸出が減る見通しなので、円高もチャンスだし、企業の体質改善のチャンスで、悪い話ばかりではない。

 水野は昨年に引き続き、「ホームクリーン」のバージョンアップ型の装置とマイクロバブルの開発に力を入れている。予定通り緊急支援の資金を借りる事が出来れば、ショールームにマイクロバブルのデモブース設置と超音波洗浄機の展示を考えている。茨城県の中小企業振興公社の「販路開拓支援事業助成金」の活用も友人に薦められた。世の中の混乱に乗じて“お金を貸すチャンス到来”ということなのか、融資の話が舞い込んでくる。

 日比谷公園にできた“派遣村”にマスコミが殺到し、雇用が大きく報道されだしたが、少し違和感がある。私は、大手企業から46歳の時に突然解雇された経験があるが、企業は景気が悪化すれば当然解雇を行なうし、スポーツチームも売却したり、解散する事も当然の行為で、特別な話ではない。派遣を選んだのなら、その覚悟の元で働いていたはずだ。就職先を派遣会社に委託する行為は軽率だし、少し甘い気がしてならない。私は突然解雇された経験を持っているが、就職は考えずに独立生活を選んで来た。だが、内実はフリーターと同じ境遇の日々だった。会社を経営すると言っても、仕事があっての事だし、なければフリーターよりはるかに厳しいと思う。トヨタやキャノンまで派遣切りを始めて報道が加熱しているが、日本全体が水没状態の今となっては、他人がなんとかしてくれたり、安定した社会が向こうから来てくれたりする幻想を抱いても無理だ。自動車関連は、裾野が広いだけに影響は広がると思うが、調子に乗ってつくり過ぎて在庫がたまっただけの事で、企業には内部保留金という潤沢な資金が眠っていて、少し吐き出して貰えば心配はない。大手企業で合わせると250兆円を超える資金があるため、ゼロ成長でも何とかなる。派遣で働く人も厳しいが、芸能人やお笑いの人達も、売れなければフリーター同然の生活だし、派遣で突然切られた人には同情はするが、我慢の時だと思う。これから益々悲惨な事態が露骨に起きてくるが、大企業の経営者と言ってもサラリーマンだし、世間で思う程、有能な人材は少ない。個人の自己責任でよく会社を選んで、自分の人生を慎重に選択すべきだと思う。私は独立して20年たつが、昔から人を雇う事を避けて来た。サラリーマン時代、自分は猛烈に働いたと自負していたが、経営者の立場に立つと、雇われ兵は楽だったと思う。我々は、全てが自己責任で、人に責任転嫁する生き方は出来ない。トヨタが世界一の企業となっても、本質は平気で派遣切りをする会社だと考える方が普通だ。雇用を守って世界一になれるはずがないし、自動車産業の未来は厳しく、冷酷な経営でないと生き残れない業界だ。世界に冠たる会社は、多くの犠牲を伴って成り立つと思って間違いない。日頃から企業や業界の動向を認識して勤める事を薦めたい。懐の深い大企業の時代は終焉し、今後は「自立」も選択肢の一つで、大手への帰属意識を捨てて、中・小・零細で働く意欲があれば、どこでも仕事は見つかると思う。常に勉強して、実力を蓄えて置くべきだ。同時に、中小企業は大手より数倍の才能と意欲が伴わないと勤まらないと忠告しておきたい。 

 私は3歳の時に広島で被爆して以来、病気と道づれで生きてきた。39歳で新日鉄から日新製鋼に転職し、6年後に突然退職したが、お蔭様で1年後に独立を果たした。人間は甘い組織の中で生活していると会社を辞める勇気がわかないし、職を失う恐怖感が強かった。解雇されて始めて弱い気持ちが断ち切れた。私は変人なので、私を雇う会社はないと思い、再就職は全く考えなかった。その後、大病を患って眼を悪くしたり、腎臓病から人工透析を受けたり、12時間もの心臓バイパス手術を受けたり散々な生活だったが、それでも私は経営者の誇りを持って働き、入院した日以外に休んだ記憶はない。派遣の人がリストラで無一文になった光景を見て、同情したい気持ちもあるが、大手の組織に身を任せ、依存心の強い生き方を厳しく自問し、逞しく再起して欲しい。これ位の不況に負けて大騒ぎして、負けてしまうと残念な気がする。イスラエルとパレスチナの戦いと比べて、日本はまだ恵まれた状況だと思う。世界標準だし、今後も深刻さは増す方向にある。国内も海外も、人間が生きている以上、様々な形でチャンスがある。報道は表面的な現象を絶望的に報じるが、賢い経営者は既に行動を起こして新しい芽を育てている。今回の経済危機により、昔で言う「焼け野が原」状態だ。隣の中国や韓国でも中小企業が続々倒産している。だが円高を生かせば、少しの資金で優れた技術が“選り取り見取り”で手に入る。今、行動すべきだと思っている。

 産総研の友人が「可視化検査装置」を開発し、販売する事を勧められた。従来の非破壊検査機は「静止画」で判定したが、今回は「動画」での欠陥判定が可能になった。日中の共同開発の成果で世界初らしい。中国人のパワーと、日本人の持っている繊細な技術意識が組合わされ、製品開発のスピードが増した。日本にとって中国は脅威の国になると思うが、グローバル経済が曲がり角にある中で、日本の中小企業が大手企業の下請けの仕事から決別し、アジアに目を向けると、大きな転機になると思う。隣国の焼け野が原を訪れて、新しい技術を発掘して、新しい道を探る行動を起こしたい。ここ数年間、韓国や中国の優れた企業と進んでコンタクトをとってきた。アメリカの崩壊・ドル安も予想の範囲であったが、アメリカの金融危機がこれほど多くの国を巻き込んで影響を与えた事には驚いた。トヨタの王国が没落していくスピードも速かった。しかし、企業には潤沢な資金もあるので、数年すれば再び回復の道をたどると思う。実力以上に膨らんだ経済の泡は弾け飛び、政府は、4月には8万人が職を失うと予想しているが、おそらく失業者は20万人に達すると思う。それでもアメリカは2000万人、多分中国では1000万人が職を失うと言われている。
 
 私は時代が変わっても水にこだわり続けているが、水は生きるための命の根源で、好不況には関係しない業種の一つだし、成長産業ではないが、基本産業と認識されだしている。我々のような数パーセントに満たない限られた市場に生きている企業にとって、不況は刺激だし、目覚めのチャンスで、嫌いではない。不況が深刻になれば、本気で考え出すことで新しい風が生まれ、すごい成果につながるかもしれない。

 マイクロバブルの仕事を進めている。この様子を見て、産総研の研究者から超音波技術を薦められた。マイクロバブルの用途・ニーズに近いし、洗浄のマーケットに合うので、無駄にはならないと思って調べだした。以前、秋田の小林工業の仲介で、超音波の会社と超純水を組み込んだ装置の開発を試みたが、この話は実らなかった。今回、研究所の紹介で中国の超音波の会社とコンタクトが取れて方向性が生れてきた。“焼け野が原”の瓦礫から技術を拾い、立ちつくす人間の中から優れた人間を発掘して、戦後復興に真似た決意に立てば、新しい未来が見えてくる。「オゾン殺菌」も「超音波技術」も今年はビジネスの柱にしたい。当社の膜技術を使って、オゾンと超音波の製品を組み合わせるだけで新しい商品になる。

 800GPD(1時間あたり120リットルの純水を生成)のRO装置に、ボトリング機能も備えた機械の仮組立を終了した。大型UF膜に、活性炭、RO、オゾン殺菌等を組み込み、コストの安い価格での販売を考えている。カバーは中国の会社が担当しコストを下げて、アジア市場を考えている。アメリカはオバマ政権になっても立ち直るには時間がかかるし、輸出は円高では商談が成立しにくいので、彼らに筐体・カバーを作らせて半完成品の形で日本には輸入し、アジアにはOEM製品として販売したい。金融崩壊によって我々と中国側の意識が変わり、共同で考える気概が強くなった。当面の販売先は、事務所・店舗・災害対策用を考えている。中国と取引をする際、完成品を仕入れて、重要部分を日本で手直しして製品にすると、双方の技術が融和し、コストに見合った装置に仕上がる。これに超音波の洗浄機をつけるとさらに用途が広がると考えている。

 佐賀、栃木、多摩、つくばで4台ほど問い合わせがあるが、冬だし、動きは少ない。超純水装置の見積もりを提出したが、決まれば例年通りの売上額になる。仕事とは、研究室でビーカーを振って分離させたり、微量物質を探りだしたりする行為と同じ事で、見つかるまで何度も振り続ける気迫があれば、事の本質が見えて来る。今年は“ガラクタ市場”を見据えて、無から有を生み出すことを考えている。水は天からの授かり物だし、雨水の利用も本格化したい。プールに貯めた雨水の濾過技術も目処がたって来た。今年は小さな仕事も拾いまくって大きな布石を打てる年を目指している。