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◆ 「入院。一時休戦。」2008/06/17 (Tue)

 四川大地震が起きて気持だけお見舞い金を地元の産総研の会社を通じて送った。先方はすごく感激され、感謝のメールが届いた。 5月22日に東京のプリンスホテルに招かれて謝意を述べられ、数日経ってオリンピック記念に造られた限定の金メダルを戴いた。私は予想以上のお礼に感謝のメールを送ると、また丁重なメールを戴いた。参考に掲載する事にした。

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川手 会長

 中国大地震の被災者支援のための募金活動に暖かいご支援を賜りまして、誠に有り難うございます。
その功績に対して,陝西同学会の代表として、深甚なる敬意と感謝の意を表します。これからも、
日中友好の交流活動に引き続け広く開拓しましょう。どうぞ、よろしくお願いいたします。

留日陝西同学会 会長
趙 鳳済

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 ミャンマーからサイクロンの被災地に浄水器を送る相談が寄せられ、現地で使えるかは疑問だが災害用に時間0.7トンが出る小型の高性能浄水器を送る事にした。私の友人が米軍用に非常用飲料水ろ過器を開発している。数ヶ月前に入手したが、一流の製品に改良したいので、最高水準の膜を探していた。つくばの病院で、3本ほど透析膜を試作用に譲り受けた。膜は「ダイアライザー」と呼ばれてウィルスも通さない精密膜フイルターだ。ほとんどの人はご存知ないと思うが、この膜の生産量はドイツと日本が世界の市場を支配していた。しかし、生産国はベトナム、バングラディシュ、中国だ。ここ数年中国が経済力を増し、お金持ちが増えると同時に透析患者も激増しだした。日本では25万人が治療を受けているが、中国は200万人の患者がいる。このダイアライザーは一度使うと破棄される。一度採用されると大きなビジネスになるので競争が激しい。中国の技術で、新しい高性能の膜がつくられ技術が急速に高まっている。
 中国は面白い国で、安い物、まがい物が溢れていて信頼性にかけ、世界中に劣悪な中国製品が溢れている。しかし、日常生活には中国製品が幅広く浸透して中国抜きには生きられない。中国でも、日本並みのお金を払えば、驚くほど高水準の製品が買える。医療器具の進歩もすさまじい。例えば心臓の血管を広げる「ステント」と呼ばれるステンレスの金具も中国で作られて、世界一の生産量になっている。日本人は日本の技術が世界一だと思っている人が多いが、実態は幻想に近い。現実は日本と同等以上の技術、製品も幅広い分野に広がっている。良く知られている太陽光発電、ソーラー発電でも日本が一番進んでいると思っている人が多いが、原料のシリコンはドイツ、発電効率、価格、生産量は中国に抜かれている。電気自動車の生産も知られていないが、中国が世界一だ。
 私は透析を海外でも受けて性能を逐一調べているが、以前はほとんど日本製の装置が使われていた。現在は、韓国、中国、ハワイの病院も日本製からドイツ製に置き代えられ、日本は完敗している。膜もドイツと日本製がダントツだが、中国製が市場に投入され、大きく変動している。私も日本製と中国製を試しているが、上海にある会社は従業員が35,000人いて世界最大の会社だ。この会社の膜を入手した。この会社は膜の最新設備を備え世界中の富裕層向けに高水準の膜を製造している。日本製と比較すると、日本製は第一世代の膜、中国製は第三世代の膜で、性能が数段高くなっているらしい。確かに数年前は日本の膜と透析技術は世界最高のレベルにあったが、中国の追い上げは激しい。日本の医療業界は、中身が見えにくい。私のような小さな会社は参入が厳しく制限されていているように見える。簡単には新規の業者は参入しにくい障壁があるようだ。決まった業者に限定され、たらい回しで、工業技術の目で見ると技術力が低い。世界は大きく変って技術を含めて日本の遅れが目立っている。しがらみが多い日本は全てが足踏み状態にある。この種の製品は世界標準で統一されていて、自由競争しても安全は担保されている。競争が自由になれば、安くて、優れた医療器具が使えるが、実情では、参入業者は一部の企業に限定されている。この日本の現状に世界のメーカーは参入を諦めて、日本は完全に取り残されて、孤立している。
 私は以前病院の院長から透析用の純水装置を頼まれた。見積もりを出したが理事会で反対された。理由は地元の銀行から派遣された理事が反対したと言われたが、小さな会社だし、信用がなかったのだ。既存の業者の巻き返しも激しく実現しなかった。私は常に隙間を狙った仕事をしているので、時々、日本の閉鎖社会にはうんざりするが、閉鎖社会の締め付けはゆるくなって来た。社会全体にお金が無くなって価格が勝敗を決め企業の大小で決めていた常識が崩れ始めたのだ。病院から締め出された表向きの理由は信用がないと言われたが、地元の銀行と取引がないので信用されなかったのだ。余りにも古い意見で笑い転げたが、これが現実だった。

 東京の台東区から非常用の浄水器を頼まれた。26,000人分の飲料水の装置で時間4トンの純水装置を頼まれた。病院と同様、最後はどんでん返しが来ると思っていたが、当社の価格に勝てる会社はいなかった。ROの膜にしても、送水ポンプにしても私が作った製品ではない。世界の専門の会社がつくった一流の部品を装置に組み込んで、仕上げるので、大手から高く買っても我々から安く買っても性能は変らない。病院の経営がこのままでは困窮するし、病院の設備も自由競争する時代が近々訪れる。大幅に装置のコストとランニング費用の見直しも避けられなくなる。日本はもっと貧しい国になるし医療費も厳しく抑制されて自然に自由化が進む。私は膜装置では日本で有数の会社になると自負しているし価格や性能ではどの会社にも負けない。当面は、静観して、この第三世代の透析膜を非常用のろ過膜として使い実積をつくり、アジア向けの病院に供給したいと思っている。中国のメーカーはこの提案に応じて高性能な膜を提供すると約束してくれた。今月中に9本ミャンマーに送って飲料水用に使ってみる。近い将来、友人の医師をNPOに集めて透析用の膜、RO装置を日本の病院に安く販売する会社も共同でつくりたいと思っている。

 6月17日から目の手術で日本医大に入院する。営業日誌も一時休刊する。入院前に営業を加速させている。つくばで2台、市原、土浦の大聖寺、福島、岐阜、大分、中富良野、小型は岐阜で2台、ミャンマーに一台納入する。来月末には時間10トンクラスの膜装置を士別に納める。台東区に2基、今年も非常用の装置を開発する。大子町の牧場向けの大型装置の見積依頼もだす。ある商社から時間2トンクラスのRO装置の量産の相談が来ている。

 昨年9月に中国の河北省に環境の調査を兼ねて訪れたが、最初の興味は鉄鋼石の山に関心があった。中国の鉄鋼石は400Mの地下から採掘されている。2〜30センチの鉄鋼石をロータリーで破壊して磁選して分別していた。残砂にも鉄が5%ほど残っているが、その利用を尋ねると産廃扱いで大量に放置されていた。製鉄所では高炉で鉄鋼石を溶かして銑鉄を作るがこの工程でノロと呼ばれる高炉スラグが発生する。この産廃物を路盤材として使っているが、このスラグは時間が経つと再び鉄に戻る性質がある。この事は鉄の世界で働いていたので、少し知識があって、鉄鉱石の残砂の利用に興味を持っていた。河北省の有力者に連絡して小さく粉砕して送らせた。6月13横浜の会社に頼んで樹脂にカーボン繊維を5%混ぜた溶液でレンガを作った。焼かないで強度の高いレンガが造れた。エネルギーを使わないエコレンガが誕生した。この技術は生産ラインが出来ると有望になる。濁度(泥の汚れから水をとる)向きの、ろ過材としても応用ができるので牧場の水にも使いたいと考えている。

 ホームページを見て井戸水ホームクリーンの浄水器の値段を良く聞かれる。私はこの質問には答え難い。問い合わせの一番の関心事は「価格」。この気持ちは分かるが、私の関心事は現状の水質に見合った装置の仕様、使用量が知りたい。よく実情を聞かないと機器の選定が決まらない。仕様が決まると価格も概算も出せない。価格には買う人の人柄も価格に反映する。その為にも良く話を聞かせて欲しい。メールで、尋ねるより、電話、もっと安くしたいなら尋ねて来てほしい。会えば、正確な返事が出来ると思う。遠くは北海道、大分からも来られて親しく付き合いが始まったケースも多々ある。お金を払うのに、売る方と会わないで、ネットで買う方が変だし、会わないで価格を教える方がおかしいと思う。

 ガソリンの価格がまた上がる。200円を越すだろう。この状態が続けば、若者の車離れが加速して、世の中の常識も変る。世界一のトヨタでも先行は暗くなる。

 ベトナムで提携の話があって二度調査に行かせた。色々考えているが、透析の膜と時間4トン〜10トンクラスのUF膜にしぼりこれを柱にして取り組みたい。

 入院をするに当たり準備を整えているが、色々関係者に心配をかけている。私は、病気とは長く付き合っているし、新しい経験にもなるので、自然体でいられる。治らなくても、現状維持だと大儲け、悪くなっても動じないと思う。今回の手術は白目から眼底にレーザーを入れて奥の毛細血管を焼くという手術だ。水晶体の水を抜いて入れ替える。今までに聞いた事のない手術だが、理屈に合っている。手術を行う医者の方が大変だと思う。担当医は私のホームク―リーン装置を買って戴いたお客様。勇敢に手術を引き受けてくれたことに感謝をしている。

 ホテルのオーナー、その娘さんの礼子さん、士別の今井さん、奥さん、心配の電話を戴いた。本当に有難い。桜のホームヘルパーの方、透析の看護士さんからも心配して激励されて本当に嬉しい。岐阜の武藤君は心配して大型の注文までして戴いた。中国の友人たちも応援して戴いた。本当に有難いと思っている。私は常に病気に感謝をしている。サラリーマン時代は身を粉にして猛烈に働いた。猛スピードで働いて常に暴走し、唯我独尊で、友人を失って自爆した。大企業から追放されても働きまくって来たが、大病を患ってからは人にすがって助けられ、友人達の力で、仕事が大きく成長した。私にとっては大病が傲慢さを捨てさせ友人から教えを請う心を育ててくれたと思っている。痛さ、苦しさは自分の力で耐えられるし騒ぐ程の大した苦しみではない。士別の今井さんも難病を克服して大活躍し、私に勇気を与えてくれている。水野から活躍の報告を受け、目に浮かんで楽しい。私の完全復帰は9月になるが、その頃には士別にレストランがオープンする。大型の浄水設備も稼動していると思う。その日を楽しみに仲間に声をかけて訪ねたい。水野には全てを教えているし、ピカピカの一年生も日本一の安月給で働いている。

 つくばでは中国人のスーパースターがスタッフにいる。私も長く生きて来たが、これほど頭の回転の速い人は見た事はない。交渉力も抜群で全幅の信頼で、全てを任せている。10月頃、産総研の会社とIT関係で提携する。つくばの事務所に動画と画像関係のスタジオを作り情報の拠点にするつもりだ。士別もITの専門家だし、中国、ベトナム、インドネシアとサーバーで結んでネットワークを強化する。この仕事にも新しい人材が参加する。

 私は当分休むが準備万端で、7月になると大型装置が続々完成する。