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■ 防災の裏側2007/09/11 (Tue)

 防災の日に台東区に納入した浄水器を稼動させ、防災訓練を無事終えた。当日、若い人達を招き装置を内覧し、感想を聞くと大きさに驚いていた。この装置は、長期に貯蔵してある井戸水を再生し、飲料水に使いたいと相談を受け、プロジェクトが始まったが、ガス対策、配管の汚れ、ヘドロ、臭気、水質等が問題になった。役所の条件は50項目の水質基準に合格する事と予算は厳しく限定された。当初の計画案は前処理にMF膜5本を使う予定で仕様書を作り提出した。予算も破格で引き請けた。朝から夕刻まで、問題点を話し合ったが、最後は、押しきられた。問題は納期との戦いになる。余分な時間がないので、極力書類の提出は最低限にするように頼んだ。
 水野から予期せぬ報告が来た。9月2日に区民に披露目するので8月20日ごろまでに完成させればよいと思っていたが、水質検査が必要になると聞かされた。50項目検査すると急いでも3週間かかる。逆算すると。装置の完成は8月10日までに終了する必要になる。遅れると盆休みだ。会議ではこの話は出なかった。RO逆浸透膜を使うので、水質検査は問題なく通るが、そのデーターの為に、3週間も製作時間が削られる。この話は7月の終わりの話だ。納期は、丸10日も無かった。次にスペースの確保のために10インチの大型膜を急遽導入した。この膜は最悪の時に使う予定で準備していたが、MF膜では本数が5本必要になり、配管も複雑になるので、大型膜2本にするとシンプルな設計になる。水野は神谷養鶏から時間3トンの純水装置、半導体工場からEDI超純水装置、ホテルの増設工事、スーパーから自販機の製作、他にメンテの仕事が舞い込み戦争状態だ。
 水野はレイアウトを考え、私は搬入時の課題を整理していた。最後まで結論が出なかったのは、装置を格納するケースの選定だった。市販のケースを使うと補強が必要になる。自社で作ると重くなるし、重いと搬入コストが高くなる。現場は埋め立ての土地で、地盤が軟弱で重機が使えない。ケースが決まらないとレイアウトも装置の組み立ても出来ない。私は、組み立て工場に出向き珍しく、組み立てを手伝った。市販の組み立て倉庫は実に良く出来ている。ここで、ヒントを掴んで、水野と話し合った。ケースと一体で作るのをやめて、装置を包む方式を採用する事にした。この考えが成功すると、装置を仮組みして現場で組み立てる事が可能になる。この案を決めて、工場にケースの骨格を搬入し、レイアウトを決める作業を開始した。装置の一番のポイントはレイアウトと配管の良し悪しで、全てが決まる。最近は、レイアウトを決める時に、CGの技術を使うが、現場ではCG以上の頭脳が求められる。実物で決めて行く作業は、三次元を超えた高度な頭脳プレーになる。水野はこの才能に長けている。水野のレイアウト力はシンプルで、美しい。決められた空間の中で収まる。私と水野はイメージで繋がっている。長年の経験で即座に結論が描ける。イタリアの職人も同じ手法でデザインするし、ほとんどが、ハンドで、即席にデザインして造る。私は彼の仕事の進め方が一番高度だと思う。世の中の多くは、管理の為とクレームが起きるので、図面が欠かせないが、図面から始めると、美しい作品は出来ない。無駄があっても、形から入って修正しながら作る手法が正しいと思う。書類や図面がないと仕事が出来なくなってきた世代は寂しい。

 装置が予想以上の速さで完成した。1年以上も備蓄してある水を飲料水になるデーターが求められた。通水して採取を行った。当初は、原水の良し悪しを心配したが、考えても始まらないので、現状保有する技術と設備品を駆使した。10インチの大型UF膜を贅沢に組み込み、RO膜も低圧式の高級な膜を使った。何時も、中国の水を考えているので、この仕事の体験は有意義な経験になった。いつか、日本でも水不足になると、排水の再利用も必要になる。通水テスト時、UF膜処理後のTDSメーターで計測したが、2500ppmあると浦安の事務所で、通水での計測の様子を聴いた。白い泡もとれないと言って来た。UF膜を通じても2000もあるので、朝早く再び通水テストを行うので、私も立ち会った。2000もある水をRO以外のろ過法ではろ過出来ない。役所の担当者に頼み、立会に来られて、備蓄の原水を計測させて貰った。マイクロジーメンスの値で、3500を超えている。中国の水道水が1000ほどあるので、最悪だ。隅田川沿いにあるので、地下で川の水が混ざり汚れているのだろう。東京23区に、水がタンクに備蓄されているが、多分災害時には処理をしないと飲めないと思う。都民は信用して飲めると思っているが、備蓄の水は飲めないと思うが正しい。飲めない水を大量に備蓄していても意味がないが、災害が起きると恐ろしい。私のような専門家が指摘しても、解決出来ない話で、意味がないが、備蓄水の点検を提案したいが、この国は何時も問題を隠すので、掘り起こすと、水以外にも問題が山積し、水問題も氷山の一角に過ぎない。所詮は、諦め自己防衛するしか道がない。

 私のスタッフが、新聞記事で、ある有名な大手企業が、防災用の浄水器を4000万円程度で、全国の自治体向けに販売するニュース記事を教えてくれた。私の感想は、大きく国民の感情と乖離して、高過ぎる。高すぎても、大手企業が売ると売れるから不思議だ。行政もお金がないと言っても、税金を使うので、大手から買う。防災用の浄水器は緊急時に飲む水を造る装置。安く提供すると、喜ばれるが、この種の仕事は、社会貢献と割り切り、安く提供すべきだと思う。

 奈良で、又、病院を11箇所も回されて流産した。悲惨な事故だが、今後も、間違いなく多発する。小子化で、産婦人科の医師が不足し、地方は更に深刻だ。マスコミが正義ぶって非難し、庶民の怒りが湧いても感情では解決出来ない。医者がいないのでは、話にならない。この国の力はこの程度だと諦め厳しく社会を監視し改めていかないと現実はドンドン悪くなる。子供を生み、育てる基本的な行為ができない経済大国は恥だ。奈良には安心して、住めない。私も奈良に住んでいたが、奈良から移動し、福岡に移住した。福岡に移住すると、水不足が問題になる。次に、つくばに移住した。つくばは自給出来るし、田舎の都会で安心できる。危ないと思えば移転をしないと日本も危ない国になり下がっている。庶民の頭には日本の国が、まだ、経済力があって、優れた国だと過信している人も多いが、日本の中身は奈良だけではなくガタガタと思った方が正しい。もし、東京が被災すると1000万人を超す人口に飲ます水は、備蓄水では足りないし、病院に医師が不足するのも、財政事情から避けられない。全てが、予算不足で、足りない。私は少し、余裕があるので、時間1トンクラスのRO装置を開発して、災害が起きた時に、貸し出せる準備を始めている。

 アメリカで、橋の崩落事故があって、総点検すると22兆円も予算がかかる試算が出た。日本の橋を点検すると、危ない橋が多い。膨大な予算と人材が必要になるが、現実は、予算も人材も足りない。私は、透析を受け、週3回通院しているが、病院もスタッフの数が激減している。介護士も予算が削られて激減し、問題が起きている。私は装置の価格を中国に負けない価格に抑えている。安くて、優れた商品を作れば、評判になり、客が買いに来る。客が自発的に買いに来てくれる独自のシステムでビジネスモデルを展開し成果を挙げている。

 今回、新しい倉庫に荷物を移した。倉庫に入り切れないほどの部品があるが、一つ一つを吟味すると、歴史が浮かんで、優れ物が多い。在庫は見る人によっては、ガラクタに見えるが、その中から、新しい商品が生まれる。大分から水銀の汚染があるので、装置の催促がある。膜と小型のROの併用を考えている。印旛村方式にしたい。松戸の二軒分の仕事も受注する。龍ヶ崎から事務所に来られた。この方も受注を確認して作業に入る。富士鉱油、大宮の客も検討する。

 中国は、経済成長の犠牲で河川、地下水の汚染が進み、70%の水が工業用水としても使えないらしい。知人が中国に出かけて水処理をしているが、忙しいらしい。潤沢にお金が集まっても、水が飲めない社会は嫌だ。私は、水とトイレと空気が汚いところは行きたくない。五輪を開催して、国威を高揚し、誇りたい気持ちも分かるが、中国は無理をしている。環境を破壊し犠牲の上の繁栄は滅亡するし、バランスが取れた国つくりには、50年はかかると思う。日本のような老人国家の国も困るが、金の亡者で環境を食い物にして発展する国も困る。民意の高揚を願うが至難の業だと思う。ホームページを見て、膜の浄水器が売れているが、20年近く、装置の開発に従事して来たが、膜が一番優れた商品だと思う。「水のビジネスが大きくブレイクする」予感がするし、20年前に、水の自販機を輸入して、改良から始め、色々開発して、技術を習得して来たが、苦労した甲斐があった。

 世界陸上を見て思い出すが、第1回大会は日本テレビの主催で開かれた。私も第1回大会の公式スポンサーで参加したが、見ていると、日本は勝てないし、進歩の後が見られない。北京も期待は出来ない。グローバル経済が進んで、世界は小さくなり、日本は全ての分野で、飲み込まれてドンドン小さくなっている。全てに閉塞感だらけの社会になった。

 少し秋が深まる季節になった。また、台東区から9月の30日に防災訓練が開かれる。浄水器の出動を頼まれた。私の会社は腰が軽くて、小回りが効いて頼まれたら何でもこなせるように常に準備をしている。9月も忙しいが、マイペースで頑張る積もりでいる。